人生で結婚式の引出物選びは最初で最後。
誰もが初めてのことだから知らないことばかりなはずです。
分からないことがあったときに皆さんが最も参考にする情報が結婚式場の案内やプランナーの説明ではないでしょうか?
しかし、
- プランナーの説明とネットに書いてあることが違う
- 自分が考える引き出物選びとは違う内容をおすすめされる
ということがあります。今回は「式場の案内や説明って本当に正しいの?」と思っている新郎新婦に”結婚式場の引き出物案内の真相”について説明をいたします。
引き出物選びに正式なルールは存在しない!?
引き出物は正式なルールに従って贈る必要があると思っていませんか?
私もブライダルフェアで新郎新婦に引き出物をご案内することがあります。その時に”引き出物選びのルール”を聞かれることがよくあります。
しかし、引き出物の選び方に正式ルールはありません。
「本当?そんなこといってもマナーってあるんじゃないの?」
こんな疑いをお持ちのあなたに引き出物に正式なルールがない理由を説明いたします。
縁起という名の矛盾
引き出物には縁起が良いという理由で、
- 鰹節
- 赤飯
- 紅白饅頭
を入れた方が良いと言われています。
このようなアイテムは『縁起物』と呼ばれています。プランナーの中には、
「引出物は偶数だと縁起が悪い。3品目に縁起物をいれると良いですよ。」
と縁起を意識して引き出物を選ぶことがルールかのようにアドバイスをされることがあります。
なんとなく納得してしまいそうですね。でも、引き出物で良くもらう食器について考えてみてください。縁起の良さなんて一切ありません。むしろ落として割れたら元に戻らないので縁起が悪いと思いませんか?
実際に食器は”割れ物”として昔は縁起が悪いとされていました。しかし、今では食器を贈ることは当たり前で、プランナーも当たり前のように案内をします。
割り切れると縁起が悪い
「偶数は割り切れるので縁起が悪い。奇数にしましょう。」
これもプランナーの常套句です。
2品にしようと思っていた新郎新婦に対して、数字の縁起を伝えて3品目を購入させるという魂胆です。割り切れると縁起が悪いの理屈は、『割り切れる=別れる』を連想させるからといわれています。
そもそも割る意味も分かりませんし、新郎新婦のことを考えるプランナーなら地域性を考慮してアドバイスをします。例えば、都内であれば引き出物が2品というカップルも珍しくありません。富山や石川・新潟は5品、北海道は1品という割合が高くなります。
引き出物の説明は担当プランナーの知識や経験を元に話をします。そのため結婚式場や担当プランナーによって、引き出物の説明内容が異なったり、曖昧な説明ということが少なくないのです。
縁起物が必要かどうか?は”縁起”ではなく、地域の品数相場を参考に検討しましょう。縁起どうこうではなく、ゲストがどう思うか?が引き出物選びの基本中の基本となります。
結婚式場毎に違う引き出物の案内
引き出物は地域性があります。
しかし、同じ地域の結婚式場でも、案内や説明の内容が大きく異なることがあります。なぜ同じ地域にも関わらず違いが生まれるのでしょうか?
以下では、式場が引き出物を案内する裏側をご紹介します。
引き出物の相場(価格)案内
どなたにとっても引き出物を決める上で、重要な項目が”価格”です。
驚くことに式場の案内次第で、引き出物の相場価格に数千円の差がでます。ゲスト一人あたりの平均額が1,000円違えば、列席者の人数で計算をすると5~10万円以上の差になります。
一部の結婚式場では、引き出物の購入単価を高くするために、
- 引き出物の相場金額を高めに案内する
- 低価格のアイテムを引き出物カタログに掲載しない
という案内をする式場もあるのです。
新郎新婦にとって、引き出物選びは人生で初めて。相場が3,000円と案内されても、4,000円と案内されてもどちらが正しいか判断ができません。相場については、鵜呑みにせずに、しっかりと調べるようにしましょう。
販売ポリシーで異なる式場案内の引き出物
結婚式場は商品を作るメーカーではありません。式場は、自分たちで商品を持っていませんから、引き出物業者から商品を仕入れて新郎新婦に販売します。
どのような商品を仕入れるかは結婚式場によって異なり、仕入れ商品が違うため結婚式場毎に案内をする引き出物も異なります。ここに驚くべき事実が隠れています。
結婚式場は、仕入れることのできる全てのアイテムを新郎新婦に案内していません。
「えっ意味が分からない。」
一般的な考えでいけば意味が分かりませんよね?
全アイテムを紹介しない理由は、各社で販売ポリシーが異なるからです。各式場の販売ポリシーを分別すると以下の3つに分かれます。
- 新郎新婦(ゲスト目線)で引き出物を案内する式場
- 説明や案内をほとんどしない式場
- 売りたい商品だけを案内する式場
新郎新婦(ゲスト)目線で引き出物を案内する式場
超優良な結婚式場です。
人気商品や高品質な商品をおすすめとして案内をします。
人気商品やトレンド商品を案内するために、結婚式場も常に新商品を探して積極的に仕入れ先を増やしたり、プランナーも日々新商品の勉強をしています。
- 幅広いラインナップから引き出物を紹介してくれる
- 商品毎の特徴なども説明してくれる
- 取り扱いアイテムにはなくても要望に応じて仕入れできるよう交渉する式場もある
この式場で結婚式を挙げるカップルは、それだけで結婚式の成功に近いといえます。しかし、新郎新婦やゲスト目線の引き出物案内をする結婚式場は少ないというのが現状です。
説明や案内をほとんどしない式場
一般的に結婚式場の引き出物案内は、以下の3種類になります。
- 結婚式場の成約時に引き出物パンフレットを渡す
- ブライダルフェアで展示する
- 個別の打ち合わせをする
個別打ち合わせをせず、新郎新婦にお任せといった結婚式場もあります。ブライダルフェアは、結婚式場の引き出物案内のように思えますが、実は引き出物案内をしているのは、結婚式場と取引がある引き出物業者です。
引き出物業者の説明は”自社の引き出物アイテムを売るため”という傾向が強くなります。そのためトータルで新郎新婦に引き出物を案内するという視点がないこともあります。
プランナーから引き出物の説明を受けていなければ、ネットで調べて検討しなければ食い物にされます。
売りたい商品だけを案内する式場
何度もいいますが、新郎新婦は引き出物の知識がほぼありません。
初めてだから当たり前ですね。
こういった事情を利用する式場があります。簡単にいえば結婚式場が販売したい商品を、『引き出物に適した商品』や『トレンド商品』のように説明をします。
あなたは結婚式場が販売したい商品とは、どのような商品だと思いますか?
ずばり”利益率が高い商品”です。
仕入れ原価の安い引き出物を購入してもらえば、式場の利益は増えます。新郎新婦の意向と合致していれば良いのですが、これらの商品はゲストにとって嬉しくない商品である確率が高いのです。
実はこのような式場は商品を小出しに案内するという特徴があります。
- 最初は最も原価の安い引き出物商品群を案内します
- 新郎新婦が納得しない時は、次に原価の安い引き出物商品群を案内します
- さらに納得しない時には、別の商品を案内します
このように小出しに引き出物を提案することで、選択肢を与えずに商品を決めてもらうわけです。人間は選択肢をだされると、その中から選ばないといけないという心理になります。
希望の商品がない時は『持ち込み』や『宅配』をチラつかせるとプランナーも焦るはず。ちなみに、アンシェウェディングでは式場よりもお得になる持ち込みや宅配サービスをおこなっています。ぜひ、このような式場と契約された方は、当社のサービスもご検討ください(笑)
その他の注意点
式場オリジナル引き出物は要注意
式場の売りたい引き出物を案内する顕著な例が式場オリジナル引き出物です。一部の式場では、食器やタオルなど引き出物の定番アイテムをオリジナルとして販売しています。
「ここでしか買えない」や「オリジナル(希少性がある)」と言われるとなんとなく魅力的にみえるのが人間というもの。しかし、オリジナル商品は注意が必要です。
なぜなら、オリジナル商品の定価は自分たちで決めることができるから。分かりやすくいえば原価が非常に低い商品である可能性が高いのです。
以下は極端な例えになりますが…
100円ショップのマグカップを2個セットにし、綺麗な箱に入れて定価3,000円の引き出物として売っていたとします。100円ショップは価格以上の商品も多く、食器に詳しくなければ100円ショップの食器とはわからずに購入してしまう人がいるかもしれません。
余程のブランド力がない限り個人的には式場オリジナル商品は避けることをおすすめします。
新店舗に要注意
毎年、続々と出店される結婚式場の新店舗。
新店舗は綺麗ですから、当然人気も高いのですが、ちょっとした注意が必要です。
結婚式場の運営会社が、エリア開拓で新しく出店する場合、新エリアの風習や習慣を把握していないケースがあります。参列するゲストからすると、そのエリアの結婚式では当然のようにあるものが無いなんてことも!
結婚式場の知識不足が、新郎新婦の恥に繋がってしまう可能性があります。
プランナー毎に違う引き出物の案内
引き出物の案内は担当プランナー毎に異なる場合があります。
特にウェディング業界では新郎新婦への提案に関しては、プランナーに任される部分が多いです。つまり、担当プランナー次第で挙式の出来栄えが左右されます。プランナー毎の案内の違いは主に、
- プランナー経験年数
- プランナーの性格
- 結婚式を挙げる時期
によって生じます。
プランナー経験年数
どんな業界や業種も同じですが商品を説明するうえでは経験年数がモノを言います。やはり経験が浅いと提案や説明も浅いものになってしまいます。年齢が若いプランナーはもちろんのこと、30代でも転職で最近プランナーになった方もいます。
ぜひ、担当プランナーの経験年数を聞いてください。
プランナーの提案範囲は広く、ウェディングに関する全般の知識と経験が必要です。
プランナー歴5年でようやく一人前のプランナーというのが目安。また、ウェディングの難しいところなのですが、経験が長いと最近のトレンドを把握していないこともあります。
ここ10年ほどの結婚式は、新郎新婦がゲストに”おもてなし”をするいわゆる”もてなし婚”という考え方が主流。風習などにとらわれて、ゲストにとって窮屈・退屈な結婚式にするのではなく、ゲストを”もてなし”て楽しんで帰っていただくという考え方です。
プランナーの性格
十人十色というように、プランナーの性格も人それぞれ違いがあります。
- 新郎新婦に納得のいくまで検討してもらいたいプランナー
- プランナーが得意なプランニングに誘導していくプランナー
- できる限り利益が出るように案内をしていくプランナー
など様々です。
ウェディングアイテムの中で引き出物は新郎新婦の関心度が低いアイテムといわれています。そのため実は新郎新婦からの要望や突っ込んだ質問が少ないのが引き出物です。
ウェディングプランナーも引き出物は、なるべく手間をかけずに新郎新婦に任せて決めてもらいたいと考える傾向にあります。そういった中でウェディングプランナーの説明不足によりクレームが発生することがあります。
担当プランナーから引き出物の説明が少なくても、新郎新婦から申し出て引き出物の説明を受けるようにしてください。引き出物のトラブルは、挙式後に新郎新婦の知らないところで発生することがあります。
クレームは打ち合わせ段階や挙式中に発覚をすれば新郎新婦が気づくことができます。しかし、引き出物はゲストが自宅で開封するため不都合が生じても新郎新婦の耳に入らないということも少なくありません。
プランナーの嘘を見破る方法
引き出物の説明は、嘘に近いことを言うプランナーもおります。
悪い言い方になりますが”式場の都合の良いように話を進めていく”わけです。
カモにされないために、以下では引き出物の説明に関する本当と嘘を見抜く方法をご紹介いたします。プランナーとの打ち合わせやブライダルフェア前の予習として、是非参考にしてみて下さい。
相場(価格)を見破る
本来、企業がお客様に対して平均価格など相場を説明する際には、根拠となるデータを示す必要があります。
例えば、アンシェウェディングではゼクシィの「結婚トレンド調査」や「当社のお客様の販売実績やアンケート」を元に記載しております。
担当プランナーから相場や金額の説明を受けたら必ず情報の出所(調査先)を確認してください。また、説明に対して細かく質問することも心がけることも重要です。
(例)友人向けの引き出物の相場が5,000円という説明を受けた
「富山県から列席する親戚に対しても同一でよいか?」と質問してください。
仮に富山から列席するゲストがいなくても、この質問をすることでプランナーのレベルが分かります。
北陸エリアは、全国平均で引き出物単価が高いエリアです。
ゼクシィの調査によると一人あたりの引き出物金額を東京と北陸で比較すると1,800円も北陸が高いという調査結果があります。
プランナーの回答が、
- そのゲストとあなたの関係性はどのようなものか?
- 北陸だと平均価格が東京より高く、品数も多いです。贈り分けで品数を多くしてもいいかもしれません。
という説明をしないなら要注意。勉強が足りないプランナーといっても良いでしょう。
(例)親族向けの引き出物相場が8,000円と説明を受けた
「8,000円が一般的なのか?どこのデータで8,000円なのか?」と質問してください。
この回答がゼクシィの調査データなら実際にチェックしてみましょう。数字が正しければ、しっかりと調べて回答をする信頼できるプランナーといえそうです。
プランナーの回答が、
- 一般的にそういわれています
又聞きレベルや出所のないデータの可能性あり。経験だけで話をする人か、勉強不足の若手の可能性があります。 - 当社の実績です
本当にそのようなデータがあるか確認が必要です。
意地悪な質問をしようと思えばできますが、そこは関係性もあるので控えることをおすすめします。(例えば、「一般的に」といわれたら、どこの誰がいってのか??データをみせて?など)
引き出物商品を見破る
上記では売りたい商品だけを案内する式場で、商品を小出しに案内する式場があることを説明しました。売りたい商品だけを案内する式場とは、仕入れ原価順に商品の案内をする式場のことです。
例えば、結婚式場の引き出物が、仕入原価の高い順にA群・B群・C群と分かれていたとします。一般的には商品原価が高い方が魅力的な商品の場合が多いので商品の魅力度は、
A群 B群 C群
となります。
全ての商品を見た上で決めたのであれば、新郎新婦の判断です。しかし、A群の商品しか案内されず、A群の商品から商品を選んでしまったら不公平です。
もしも式場の案内する引き出物の内容に納得いかない時は「もっと他の商品ありませんか?」と聞いてみて下さい。
「ネットで売っているこの商品を引き出物にしたい!」というのも効果的です。 式場によっては、自社での取り扱いがない場合でも、仕入先を探してくれることもあります。
ここまでして納得のいく商品が紹介されないならネットショップや百貨店などで引き出物を探してみましょう。売り手側から、良い商品や良い条件を引き出すには他の選択肢と比較していることを伝えるのが最も効果的です。
「良い商品が無ければ持ち込みますよ!」と伝えることで式場の本気の提案を引き出すことができるかもしれません。
まとめ
- 引き出物選びの正式ルールは存在しない
- 結婚式場の引き出物案内は必ずしも正しいわけではない
- オープンすぐの新店舗は注意が必要
- 式場オリジナルの引き出物は避けた方がいい
大切なことはプランナーのいうことを鵜呑みにせず自分たちで調べることです。
引き出物はゲスト視点で選ぶことが大切。
引き出物選びに迷ったときには「3分でわかる引き出物選びの手順」を参考にしてみてください。