
結婚式の招待状は、親族や上司など目上の方から職場の同僚や友人など様々な立場の人に送るフォーマルなものであり、故に招待状の書き方にも基本的なルールやマナーが存在します。
今回は、招待ゲストに失礼のないように結婚式の招待状の書き方について解説いたします。
招待状作成前の準備
まずは招待状の書き方の前に決めておくべきことが『差出人を誰にするか』と『縦書きと横書きのどちらにするか』です。
差出人を誰にするか?
招待状の差出人は結婚式の主催者名を記載します。
差出人が新郎新婦かご両親かで、招待状の文章は変わります。差出人を誰にするかという基準は下記で説明しますが、新郎新婦さまお二人と両家両親の意向を汲み了解を得た上で決めましょう。
新郎新婦本人を差出人にする時

- 挙式や披露宴など結婚式費用を主に新郎新婦が負担する場合
- 参列者に友人や同僚が多くカジュアルな雰囲気にしたい場合
新郎新婦の親を差出人にする時

- 挙式や披露宴などの結婚式費用を主に両家両親が負担する場合
- 参列者に親戚や会社の上司が多くフォーマルな雰囲気にしたい場合
親と新郎新婦の連名で差出人とする時

おもてなしをする気持ちを両家として込めたい場合
(この場合は親の名前の後に新郎新婦の名前を書くのが一般的)
上記基準とは別に『封筒は新郎新婦、本状には親を差出人とする』という新郎新婦さまも多いです。これは封筒の差出人名が両家の親の名前だと、職場関係の人は名前を見てもピンとこない人がいることを防ぐための方法です。差出人名が誰であるかということを重要視する方がいらっしゃるのも事実なので、ご両親と相談した上で差出人を決定しましょう。
縦書き・横書きのどちらにするか

招待状は縦書きのスタイルでも横書きのスタイルでもどちらでも問題ありません。しかし、封筒の宛名と本状の文面はどちらかに統一するというのがマナー。封筒の宛名を横書きにしたら本状の文面も横書き、縦書きの場合は両方縦書きとなるようにしましょう。
尚、ペーパーアイテム関連は作成キットや外部業者を利用する新郎新婦さまが多いアイテムですが、業者に依頼する場合は定型フォーマットや文例が用意されていることがほとんどです。しかし、定型文は新郎新婦ごとに可変して文章を再作成しなければいけない箇所があるため、基本的なルールはしっかりと抑えておく必要があります。
招待状本状の書き方
いよいよ招待状本状の書き方をご紹介します。
文章の基本構成
招待状本状に記載する文章の構成は一般的な形式が決まっており、下記のような構成となります。

- 頭語
- 時候のあいさつ
- 結婚式・披露宴への招待の文章
- 結語
- 差出日(○月○日吉日)
- 差出人名
- 日時 開始時間 場所
- 出欠連絡の期日
以下では各内容について詳細をご紹介します。
A/D.頭語・結語

頭語・結語とは本文の前後に入れる言葉です。
結婚式の招待状で使われる頭語・結語は、一般的に丁寧な意味合いを持つ『謹啓・謹白』を使うことが多いですが、『拝啓・敬具』のようなかしこまらない形でも間違いではありません。
尚、頭語・結語は必ずセットで使います。例えば、頭語に『謹啓』を使ったら、『謹白』を使います。逆にいえば『謹啓』を使ったら結語に『敬具』を使うことはマナー違反となります。
B.時候のあいさつ

時候のあいさつは頭語の後に続く文章です。
春夏秋冬と四季が豊かな日本ならではの慣習で、招待状の差出月に応じた文章を選びましょう。
C.結婚式、披露宴への招待の文章

頭語・時候の挨拶に続いて書く文章が、結婚報告と招待内容の文章です。
結婚式の招待状の文面は、パターン別の文例を自分たちに合うようにカスタマズして使用するのがスムーズです。基本のパターンは差出人別に以下の3パターンがあります。
- 差出人名を両親の名前で出す場合
- 差出人名を新郎新婦の名前で出す場合
- 差出人名を新郎新婦の親の連名で出す場合
上記のパターン+それぞれに媒酌人ありなしのパターンがあります。また、
- 披露宴のみ
- 人前結婚式
- レストランなどでのカジュアルパーティー
- 会費制パーティー
- 海外挙式帰国後パーティー
など結婚式のスタイルによっても文面の内容は変わります。それぞれの新郎新婦の結婚式の形に合った形の文例を確認した上で文章を作成しましょう。
E.差出日

- 横書き:西暦(2018年)
- 縦書き:和暦(平成三十年)
結婚式の招待状は縁起の良い日に送ることが一般的であるため『○年○月吉日』という記載にします。
F.差出人

差出人の決め方は上記で説明をしましたが、文面の中にも差出人を記載します。
G.日時・場所

- 日時(日付、開始時間、受付開始時間)
- 場所(式場名、住所、電話番号、最寄駅など)
を記載します。差出日と同様に、日時は横書きなら西暦、縦書きなら和暦で表記します。時間は、午前・午後を付けるのが一般的で、昼12時は『午後12時』または『正午』と記載します。また、本状とは別に会場案内図を用意すれば、最寄り駅や交通手段などの詳細を記載できます。
H.出欠連絡の期日

一般的には挙式日より2ヶ月前または招待状を発送した1ヶ月後の大安や友引の日に設定するのが望ましいとされています。但し、招待状を発送するのが遅れてしまい、日程に余裕がない場合は「折り返しご返信くださいますようお願い申し上げます」と記載しましょう。
招待状の書き方の基本ルールとNGワード
最後に招待状の書き方となる基本ルールとNGワードをご説明いたします。
段落はつけず句読点を使用しない
『お祝いごとには終止符を打たない』という意味合いから、結婚式に関連する文章には”区切る”を連想する『、』『。』など句読点は使わないのがマナーです。
本来『、』を使うべきような箇所は、スペースで字間を空けたり行間で調整するようにします。また、同様の理由で、段落を変える時の文頭も空けてはいけないというルールがありますので、頭揃えやセンター揃えをして調整をしましょう。
忌み言葉と呼ばれるNGワード
結婚式では『忌み言葉(いみことば)』という結婚に相応しくない言葉があります。
日常生活では、普通に使う言葉でも、結婚式関連では使うことがタブーとされている言葉ですので注意しましょう。なかなか馴染みがないと思いますので、実際に招待状で使いやすい言葉の例を挙げて説明します。
ご多忙の『忙』
ビジネスメールなどで使う「ご多忙の中…」の『忙』という字は『心』を『亡くす』という意味から成り立っていることからNGワードとなります。
<置き換える言葉>
ご多用中のところ、おいそがしいところ
ご返信の『返』
返信ハガキに使わってしまいそうな「ご返信は…」の『返』は忌み言葉となります。
<置き換える言葉>
ご連絡、ご一報
上記の他にも以下は忌み言葉となります。
- 結婚を繰り返すことを連想させる重ね言葉
繰り返す・戻る・返す・度々・重ねて・再び・再度・二度・二回 など - 別れを連想させる言葉
別れる・分かれる・切る・切れる・返す・去る・忙しい など - 不幸や不吉な言葉
悲しむ・嫌う・負ける・死ぬ・仏・病む・四・九 など
横文字のカタカナ表記
結婚式会場やレストランの名前で英語以外の外国語の横文字や読み方が難しい場合が少なくありません。招待状を送るゲストの中にはご年配の方もいらっしゃることを考慮して、横文字の横には読み仮名やカタカナ表記を入れるようにしましょう。
まとめ
- まず差出人を誰にするかを決めないと招待状の文章が作れない
- 縦書き横書きは本状と封筒宛名の向きを揃えればどちらでもOK
- 文章内に記載すべき項目を漏れなく盛り込む
- 相手にわかりやすいように会場名などの横文字には読み方を入れる
- 句読点や忌み言葉を使わず段落もつけない文章を作る
- 文例を参考にして自分達に合わせて修正する方法が簡単
いかがでしたか?
結婚式の招待状の書き方は色々な意味合いに基づいた細かいルールがあることがお分かり頂けたと思います。招待ゲストに失礼のないような招待状を作るためにも、今回の記事で説明した注意点を理解した上で作成に入りましょう。