婚姻届の印鑑には明確なルールがあります。
ひとつは を使うこと。もうひとつは ことです。
実際の婚姻届を例に捺印箇所を説明し、後半では注意点に加えて、捺印の失敗例&成功例は画像つきで解説し、キレイに捺印するコツも紹介します。
婚姻届で印鑑を使用する箇所
婚姻届の捺印は
ただし婚姻届の入手先によっては、捨印の欄がなく2箇所の婚姻届もあります。
※基本的に細かい区別をせずハンコも印影も『印鑑』で統一して説明します(呼称についての詳しい説明は婚姻届には関係ありませんが、最後に説明しています)
今回は東京都のオリジナル婚姻届を例に捺印箇所を紹介します。
捺印箇所は以下の3箇所です。
- 届出人
- 証人
- 捨印
ダウンロード:東京都オリジナル婚姻届
届出人欄
つまり新郎新婦さまのお二人で、代理人に依頼する場合も、婚姻する新郎新婦さまが直筆と捺印をします。
本人以外の使者(代理人)が提出する場合、代理人の身分証明書が必要です。また新郎新婦さまのどちらから一人で提出する場合、本人確認通知が送られてきます。
証人欄
この欄は新郎新婦さま本人の署名捺印ではありません。
分かりやすくいうと新郎新婦さまの結婚を証明する人の署名捺印欄です。
- 婚姻の事実を知る
- 20歳以上の成人
上記の二つが証人の条件で、
67.29%が両親に依頼(※)をしていますが、友人や同僚でも構いません。
後述しますが、証人・届出人で同じ印鑑を使用するのはNG。
つまり苗字が同じ両親や兄弟・姉妹に証人を依頼する場合は、同じ印鑑を使わないよう注意しましょう。
捨印
届出人と同じ印鑑で押印をします。婚姻届でミスがあったときに使用しますが、婚姻届によっては捨印欄がないこともあります。あるなら押印を。
自分で提出するなら捨印はなくても構いませんが、万が一のために婚姻届提出時は印鑑を必ず持参しましょう。
開庁時間内であれば、その場で修正し受理されます。
捨印欄がない婚姻届を自分で提出しないなら空きスペースに押印しておくと、小さなミスは役所の人が修正してくれるよ。続いては、印鑑のルールや注意点を説明するね。
婚姻届に使う印鑑と捺印のルール
印鑑といっても実印や銀行印、認印、ゴム印など種類がありますよね。
婚姻届には使えない印鑑もありますが、覚えることはひとつだけです。また捺印のOK例とNG例も画像付きで説明します。
朱肉をつかう印鑑なら何でもOK
婚姻届では朱肉をつかう印鑑なら何でもOKです。
実印や銀行印はもちろんですが、
ホームセンターや100円ショップで売っている三文判(低価格の印鑑)の認印でも構いません。
シャチハタやゴム印はNG
朱肉をつかわず押印する印鑑はNGです。
たとえば、シャチハタやゴム印は朱肉をつかわないため婚姻届の印鑑には認められません。
理由は印影の劣化の可能性があるから。
戸籍法施行規則 第48条および第49条によると以下のように記載されています。
第四十八条 2項
前項の書類で本籍人に関するものは、一箇月ごとに、遅滞なく管轄法務局若しくは地方法務局又はその支局にこれを送付しなければならない。第四十九条 2項
前項の書類の保存期間は、当該年度の翌年から二十七年とする。引用元: 戸籍法施行規則
簡単にいうと27年間保管しますという内容です。
つまり保存期間が長期間になるため劣化しやすいシャチハタとゴム印はNGというわけ。ちなみに、戸籍は興味本位で閲覧できないため、個人情報という点はご安心ください。
届出人と証人は同じ印鑑を使わない
婚姻届の届出人と証人で同じ印鑑は使えません。
市区町村にある婚姻届には「印は各自別々の印を押してください」と記載があります。
二行目に別々の印鑑を使うよう記載あり
冒頭で紹介した東京都のオリジナル婚姻届には「印は各自別々の、朱肉を使用する印で押印してください」とあります。
以下では、具体例な事例をあげて説明していきます。
新郎新婦さまの苗字が同じ
婚姻届は旧姓の署名捺印しますが、新郎さまと新婦さまで同じ印鑑の使用はできません。
証人を両親や兄弟に依頼する
届出人(新郎新婦さま)と証人も同じ印鑑は使えません。
証人を両親や兄弟、さらに同じ苗字の友人や同僚に依頼する際は、同じ印鑑にならないよう注意しましょう。
ふたりの証人が同じ苗字
証人同士も同じ印鑑は使えません。
たとえば新郎さまの両親に証人となってもらう場合は別々の印鑑を使用してもらいましょう。
届出人と証人の印鑑は、1回しか使っちゃダメと覚えておこう。捨印は届出人で捺印した印鑑を使うよ。
注意したい百均やホームセンターの印鑑
百均やホームセンターの印鑑は、別々にハンコを購入しても、同じ印影になる可能性があります。
基本的には大丈夫だと思いますが、役所の担当者によっては同一の印影と判断される可能性も。そのため似たような印影のハンコは避けるのが無難です。
もし女性が婚約後に印鑑を作るなら
婚姻届は旧姓で署名捺印をしますが、苗字ではなく名前の印鑑でも問題ありません。婚姻届にも使えますし婚約後も使えるので、この機会に購入もオススメです。
銀行口座やクレジットカード、年金手帳、パスポート、生命保険、社会保険など。
基本セットを購入するなら実印と銀行印を苗字、認印を名前などパターンをつくるといいと思います。
判読できるように押印する
押印する印鑑(印影)は、一部でも判読できないと押し直しを求められる可能性があります。
- 一部が欠けていないか?
- かすれている個所はないか?
- 滲みが生じて他人から見て判読が難しくなっていないか?
- 薄すぎないか?
- 薄い押印をカバーしようと同じ個所に二回押して二重になっていないか?
以下では具体的に問題ない押印例と不受理になる可能性の押印例を紹介します。
捺印の成功例
印鑑の種類はフルネームでも、名前だけでも苗字だけでもOK。
斜めになっていたり、押印欄から 。
苗字だけ | 名前だけ | フルネーム | 斜め |
---|---|---|---|
東京都の区役所に電話確認したけど、印鑑を逆さまに押しても基本的には大丈夫なんだって!
※逆さまの印影が受理されるかは担当者によっても変わる可能性があるため提出先への確認が確実です。
捺印の失敗例
にじみ | 一部欠け | かすれ | 二重 |
---|---|---|---|
にじみとかすれは程度によって受理されるそう。
一方の二重や一部欠けはNGの可能性が高く気をつけたいですね。
もし捺印がうまくできなかったら印影に対して二重線を引き、その横に捺印をし直します。
印鑑の押し方
安定してキレイに押印するなら朱肉と捺印マットが欠かせません。
捺印マットがなければ本で代用を。
朱肉と捺印マットは100円ショップにあります。
ダイソーやセリアがあれば揃えておくのが◎
新生活の序盤では引っ越しや氏名変更など捺印をする機会も多くあるので役立つはずです。
キレイに印鑑を押すコツ
- 朱肉はポンポンポンと軽くつける(つけすぎると滲みやスレの原因になる)
- 印面が正しいか確認をする(それほど神経質になる必要はない)
- 印鑑を持ち婚姻届を片方の手で抑えて垂直に押す
- 「の」の字を書くように抑える
- 片方の手で婚姻届を抑えて印鑑を離す
普段、印鑑をまったく使わないという人は練習してからがオススメです。
これで婚姻届の印鑑の説明は終わりだよ。以下は婚姻届には関係ないけど、さまざまな呼称のある印鑑やハンコの違い、押印と捺印の違いを簡単に説明するね。
分かるようで分からない「印鑑」と「ハンコ」の違い
印鑑は私たちの文化そのものと言っていいほど根付いています。
コロナウイルスにより印鑑不要論がありますが、現時点では婚姻届だけでなく、出産や転居など各種行政手続においても印鑑は必要です。
結婚して長い人生を歩んでゆくお二人にとって、ハンコや印鑑にまつわる基礎知識として違いを知っておいて損はありません。
詳しく知る必要はないので、簡単に違い説明します。
印影・印章・ハンコ・印鑑の違い- 印影
朱肉を使って押印した時、紙に残る朱肉の跡のこと。一般的に言う「ハンコください」の「ハンコ」は、実は印影のことを指しています。
- 印章=ハンコ
印章は押印する際に手に持つハンコのこと。日常で使う『ハンコ=印章』で、会社で「課長のハンコ取ってくれる?」といわれたときに、「印章のことか」と置き換えられたらなかなかのマニアです。
- 印鑑
印影の中でも銀行や役所などに届け出ていたり、登録してあるもので銀行印や印鑑登録が印鑑にあたります。印鑑は手に持つハンコをイメージする人が多いが、正確には紙に押される印影のことです。
- 捺印
直筆の氏名に印鑑を押すこと。より重要なシーンで求められるのが捺印です。
- 押印
直筆以外の氏名に印鑑を押すこと。たとえばパソコンで入力し印刷した用紙などが該当する。
1分で振り返り
この記事のまとめ
もっとも気をつけたいのが印鑑の押しミス。
とくに証人に署名してもらったあとでは、再依頼しづらいので、必ず練習をしてから捺印しましょう。