結納には『正式結納』と『略式結納』の二種類があります。
違いが分かりにくい部分があり、会場や服装、当日の流れなど細かい違いがあります。
今回は、それぞれの結納について、比較しながらご説明いたします。
正式結納と略式結納
まずは簡単に正式結納と略式結納について説明をいたします。
正式結納とは?
本来の結納(正式結納)には、仲人と呼ばれる『仲介人』が存在します。
仲人は、両家の縁談を結び、結婚式までの段取りを一手に引き受ける大役。口約束であった縁談を正式なものにする儀式が『正式結納』というわけです。
正式結納では、両家が直接顔を合わさず仲人が両家を行き来して執り行われます。
略式結納とは?
正式結納に対し、儀式を簡略化したものが『略式結納』です。
現代の結婚において、仲人を立てる新郎新婦は少なくなりました。
略式結納は、仲人を立てない背景を反映し、非常に簡略化されています。
食事会を兼ねて実施されることがほとんどです。
正式結納と略式結納の簡易比較表
比較項目 | 正式結納 | 略式結納 |
---|---|---|
仲人 | 必要 | 不要 |
会場 | 新婦の実家 | 料亭、ホテルなど |
結納品 | 五品以上 | 五品以下 |
服装 | 正礼装、準礼装 | 準礼装、略礼装 |
当日の流れ | 仲人が両家を行き来する | 食事会を兼ねて両家で集まる |
略式結納と正式結納の決定的な違いは”仲人がいるかどうか”です。前述の通り、両家を行き来して、縁談を慎重に進めてくれる役割は非常に助かります。
※割合は非常に少ないですが、仲人を立てる略式結納もあります
正式結納には多くのしきたりや複雑な口上などがあるため、経験豊かな仲人に任せておけば失礼もなく、また滞りなく結納品を納めることができるでしょう。
その反面、少し煩わしい面もあります。
結婚式後も長い付き合いになる仲人へは毎年のお中元やお歳暮が必要になるますし、挙式の打ち合わせの際に両家の意思に反して仲人の意見が通る場合もあります。
そういった煩わしさを無くし、両家のみで結納から挙式まで進めていく形が現在ではほとんど。
結納も略式結納という形で、最低限のしきたりは重んじながら省ける部分は省く形式に変化してきました。
以下では正式結納と略式結納の違いについて、更に詳しく説明をしていきます。
結納スタイルの違い
前述の通り結納スタイルの違いは、仲人を立てるか立てないかだけです。
正式結納
仲介役となる仲人が必要です。
仲人は新郎側から結納品を一任され、代役として新婦側へ責任を持って届けます。
新婦側からのおもてなしを受けたのちに、結納品に対する受書や結納返し(結納返しは後日の場合もありますが)を新郎側へ持ち帰ります。
略式結納
仲人を立てずに、日程などの細かな調整は新郎新婦が橋渡しとなって両家の結納を進めていきます。
新郎側の家族が直接新婦宅を訪問し、結納式の口上とともに結納金や結納飾りを届けます。
新婦側が用意した宴の場は両家顔合わせの場になることも多いです。
会場の違い
結納会場は、正式結納は新婦自宅、略式結納はホテルや料亭・レストランなど食事会を兼ねた会場を選ぶカップルが多いです。
略式結納の場合でも新婦自宅で行うことも問題ありません。
正式結納
基本的に新婦の実家で執り行われます。
仲人が新郎側から預かった結納飾りを持参し新婦側の自宅を訪問します。
新婦側は仲人を迎え入れ、床の間に案内。
案内された仲人は床の間に結納飾りを設置し、その場で新婦家族と改めて対面し、口上を始めます。
従って厳密にいえば、『新婦自宅の床の間』が結納式の会場となります。
略式結納
略式結納も基本は新婦自宅の床の間です。
新郎側の家族が新婦の自宅を訪問し、新婦側は床の間に案内し、結納飾りの準備が整い次第、結納式となります。
しかし、近年の住宅事情や簡略傾向でホテルや料亭で実施されることが多いです。
また、結婚式場が結納式のプランを用意しており、そこを利用するカップルも増えてきています。
結納後の宴の準備や片付けの手間を省くことができたり、進行役を施設のスタッフが行う場合があるなど、慣れない結納に対してメリットもたくさんあります。
結納品の違い
結納品には、結納飾りや目録、受書など様々なものがあります。
結納品は関東式と関西式でも違いがあるので、ご両親に相談をするようにしてください。
正式結納
正式結納は、結納飾りをコンパクトにすることはありません。
赤い毛氈(もうせん)の上に、松竹梅を始め、鶴亀などの飾りを木台の上にきちんと並べるタイプのものを用意します。
正式な結納品は九品ですが、省略して五品や七品にすることもあります。
九品の内容は、
- 熨斗(のし)
- 末広(扇子)
- 寿留女(するめ)
- 子生婦(こんぶ)
- 勝男武士(かつおぶし)
- 家内喜多留(やなぎだる)
- 友志良賀(ともがしら)
- 目録
- 結納金
新婦側にしっかりを届けた証明となる受書も必ず準備しましょう。
略式結納
五品もしくは三品が多いです。
新郎家族が直接持参する結納飾りは様々なタイプがあります。
正式結納で使用するような大きなものから、角盆の上に全てが乗るようなコンパクトなものまで選択の幅が広いです。
新郎新婦が事前に結納に対する両家の希望を擦り合わせ、それを踏まえて新郎側が飾りのグレードを決めましょう。
目録や受書は結納飾りのグレードに準じて、省かれることもあります。
服装の違い
以前は正礼装が一般的でしたが、最近は準礼装や略礼装が一般的です。
両家の服装に差がでないように、新郎新婦で話し合うようにすることが大切です。
正式結納
訪問する仲人も、迎え入れる新婦家族も共に格式ある服装が求められます。
男性はモーニングかブラックスーツ、シャツは白、ネクタイは白もしくはシルバーグレーです。
女性は正礼装の振袖、洋装なら露出の少ないアフタヌーンドレスがふさわしいです。
略式結納
略式結納の服装は、結納飾り同様に選択の幅は広いです。
新郎新婦が事前に両家の服装に関して、ドレスコードを打ち合わせしておく必要があります。
正式結納よりは少し服装のレベルを落としても問題ありません。
男性はスーツやジャケット着用程度、女性は派手すぎないワンピースやフォーマルドレスなどが多く選ばれています。
当日の流れの違い
結納式当日のスケジュールは大きく異なります。
正式結納では、両家が集まらず、仲人が両家を行き来します。
一方の略式結納では、ご両家で食事会を兼ねて集まることが一般的です。
正式結納
当日、もしくは前日に新郎宅へ仲人が訪れ結納飾りを預かります。
結納は通常午前中に行うことが通例ですので、仲人は新婦側へ事前に約束した昼前頃に訪問し結納式を執り行います。
昼食として新婦側の用意した宴でもてなされ、その後は新郎宅へ。
新婦側から預かった受書を新郎側に渡すとともに、新婦側の結婚式に対する要望などを申し伝えます。
地域などによって様々な例外はありますが、当日は朝早くから夕方近くまで仲人は忙しい一日になります。
略式結納
事前に約束した午前中の時刻に、新郎新婦の両家が会場に集まります。
結納式を執り行った後に、昼食を兼ねて新婦側の用意した食事会を行うことが一般的です。
両家の顔合わせの場にもなりますので、今後の予定や結婚式に関する打ち合わせなどを話します。
略式結納は、仲人がいない分、当日の所要時間もかなり短くなります。
正式結納と略式結納の違いまとめ
- 最大の違いは仲人がいるかどうか
- 仲人は正式結納には必要で略式結納には不要
- 略式結納は正式結納をカジュアルにしたもの
結納をするしないは新郎側が決めることが通例とされています。
新郎はご両親に相談をし、実施する場合は新婦側へ結納をする旨を伝えてください。