結納とは両家の結び付きを正式なものにする大切な儀式です。
多様化する現代のウェディングスタイルの中では結納も例外なく様々な形で行われています。
結納には正式結納と略式結納があり、結納を実施するカップルでも略式結納が多くなってきています。
そこで今回は一般的な略式結納(仲人を立てない)を想定し、結納式の進行を口上(こうじょう)と共に説明していきます。
結納式の口上が大事な理由
結納式の本質は新郎側からの誠意を示し両家の結び付きを確かなものにすることです。
新婦のご両親としては大切な娘を送り出すわけです。
丁寧な言葉で、最低限のセリフ程度は堂々といえなければ新婦のご両親も心配になります。
ただ話すことが苦手な方でも安心してください。
口上で覚える言葉は非常に少ないので簡単に覚えることができます。
新婦のご両親を安心させるためにもスムーズに結納式を進められるように準備をしておきましょう。
使い慣れた言葉でも問題はない
結納式で述べる口上は、普段は言い慣れない、聞き慣れない言い回しがあります。
ただし、セリフの一語一句が決まっているわけではありません。
基本の口上さえ抑えておけば、使い慣れた言葉でも大きな問題はありません。
ヘラヘラしたり、ナヨナヨすることは厳禁!
多少の言葉は間違っても堂々とハキハキした口調が大切です。
覚えられないならメモを用意してもOK
結納式は学校のテストではありません。そのためメモを用意しても構いません。
ポイントは一字一句メモを読みながらでは少し頼りなく感じます。
大事なポイントだけをメモして、しっかりと目をみて口上を述べましょう。
仲人なしの結納で使う口上の具体例
結納式は事前に打ち合わせた時間通りに新郎側が新婦宅に訪問します。
最近では新婦宅ではなく、ホテルなどで執り行うことが多くなってきました。
例文と共に流れをご紹介いたします。
挨拶~結納式が始まるまで
新郎側は会場に着いたら簡単な挨拶を済ませます。
通常なら挨拶をし、あれこれ話をしますが、結納の場では口上以外は無言が基本です。
式終了まで口上以外の言葉は慎むという昔の名残があるためです。
床の間への誘導
新婦宅であれば床の間への誘導を待ちます。
新郎父
「本日はよろしくお願い致します。床の間を拝借させていただきます。」
新婦父
「ご苦労様です。どうぞおあがり下さい。」
結納品のセッティング
和室なら床の間、洋室ならテーブルの上に飾るのが一般的です。
セッティングを終えたら、挨拶を述べます。
新郎父
「準備が整いました。よろしくお願いします。」
ホテルなど会場を借りる場合は、先に新郎側が入室し、続いて新婦側が入室します。
結納式の口上
一同が揃って着席をしたら、いよいよ結納式です。
仲人なしの結納式では、新郎の父親が進行役を務めます。
初めの挨拶
進行役の新郎父が初めの挨拶をおこないます。
新郎父
「(新婦)様と息子〇〇との縁談を御承諾くださいまして誠にありがとうございます。本来なら仲人様をお通しするのが正式ではございますが、事前のお話の通り略式にて結納の儀を執り行わせていただきます。」
セリフの長い口上になりますが、初めの挨拶ですので、堂々と述べましょう。
言葉の一語一句を正確に申し上げるよりも、ハキハキとした口調であれば気にする必要はありません。
結納品を納める
挨拶を終えたら新郎の父親が結納品の記載された目録を新婦の父親に差し出します。
新郎父
「私ども○○家(もしくは新郎の名前)から心ばかりの結納の品でございます。幾久(いくひさ)しくお納めください。」
※新郎の母親が結納品を新婦父もしくは新婦本人に渡すこともあります
結納品を受け取ったら新婦側が一礼後、目録を確認し礼を述べます。
新婦父
「お心遣いありがとうございます。ご結納の品、幾久(いくひさ)しくお受け致します。」
新婦が受書を渡す
結納品のお返しに女性側から新郎の父親へ受書を渡します。
新婦父
「こちらは受書でございます。 どうぞお納めください。」
新郎が受書の中身を確認する
受書を受け取ったら中身を確認し、挨拶を述べます。
新郎父
「相違ございません。」
この日のうちに新婦側が結納返しを行う場合は上記の往復を反対にし、口上もそのままで執り行います。
結納品交換後は、指輪などの婚約記念品があれば両家に紹介します。
結びの挨拶
最後に新郎の父親からの挨拶です。
新郎父
「本日は誠にありがとうございました。結納式は滞りなく相済みました。今後ともよろしくお願い致します。」
新郎新婦本人が挨拶を述べることもあります。
個人的には結納式へのお礼を新郎の口から言うことをおすすめします。
お礼の言葉を新郎から言うことで親父のご両親も良い印象を持ってくれます。
尚、結納式後はご両家で会食となります。
良い雰囲気の会食になるよう、是非実施してください。
仲人なしの結納の口上まとめ
- 結納式は新郎からの誠意を示し、両家の結び付きを確かなものにする
- ご両親を安心させるためにもスムーズに結納式を進められるように準備をする
- 結納の場では口上以外は無言が基本となる
- 仲人なしの結納式は新郎の父親が司会をおこなう
- 結納式に対するお礼を新郎からも伝えるとイメージも良くなる
冒頭でもお伝えしました通り、結納式も多様化しています。
新婦宅への訪問ではなく、ホテルなどの会場を借りて食事会とともに執り行うこともあります。
地域性や価値観によって多種多様なレベルの結納式がありますが、冒頭でも説明した通り本質は「新郎側からの誠意を示し両家の結び付きを確かなものにする」ことですので疎かにもできません。
事前に新郎新婦様でリサーチをしておき、双方の御両親だけではなく親戚や友人の経験談なども踏まえながら準備をして下さい。
今回、ご紹介した口上もあくまで一例であり、もう少し堅く長い言い回しもありますし、逆にもっとフランクな進行もあります。
一生に一度の結納式ですので、慣れている人はいません。
多少の失敗などがあっても気にせず、誠心誠意取り組むことが大切です。
何もかもが簡略化されていく世の中で、先人の繰り返してきた儀式の本質を一度学んでみてはいかがでしょうか。