招待状の本文冒頭につかう時候(じこう)の挨拶。
四季のある日本独自の習慣で、時候の挨拶があることでピリッとした文章になり、本文に入りやすくなります。
「時候の挨拶は聞いたことあるけど、マナーまでは知らない」という新郎新婦さまも多いのではないでしょうか?
そこで今回は
と を紹介します。なぜ時候の挨拶は必須なの?
時候の挨拶や季節の挨拶とは、頭語(謹啓や拝啓など)に続く『~の候』などの礼儀文のこと。
分かりやすくいうと…季節や気候、天候などに合わせて心情や季節の雰囲気を表す言葉です。
季節感を大切にしてきた日本ならではの手紙の習慣で、結婚式の招待状に限らず形式を重んじたビジネス文章でも時候の挨拶は使います。
時期によって変わる挨拶文の種類
時候の挨拶は、季節に関する言葉のため時期ごとに使える言葉に制限があります。
例えば、真夏(7月)に使う『盛夏の候』を、冬の時期に使うことは間違いです。
厳密にいえば、上旬・中旬・下旬と分かれていますが、一般的には月単位で適した時候の挨拶を選べば、それほど問題ではありません。
時候の挨拶のマナーと選び方
結婚式の招待状は両家からの正式な手紙。
そのため時候の挨拶は必要不可欠です。
「使うことは分かっているけど…」
という新郎新婦さまも多いですよね。 しかし、多くの方が悩むのは『時候の挨拶』の種類が多く選び方に悩みがち。
- どの言葉を選んだら良い分からない
- そもそも選び方の基準がわからない
時候の挨拶の選び方はマナーを守ることがポイントです。以下では、選び方のポイントを紹介します。
挨拶文の時期の基準
時候の挨拶は月ごとに変わります。
では、仮に11月の結婚式なら、招待状には何月の時候の挨拶を使えばいいでしょうか?
正解は挙式日ではなく招待状の投函日です。
一般的に結婚式の招待状は挙式の3か月前に発送するので、3カ月も時期がずれた時候の挨拶は全く馴染みませんよね?
そのため招待状を投函する月の文章を選びます。
挨拶文の選び方
時候の挨拶で悩むカップルが多い理由が同じ月でも種類があることで、大きく分けると漢語調と口語調があります。
- 漢語調
新涼の候、立春の候、早春の候など - 口語調
空の色もいつしか秋め、山々が華やかに色づく頃など
少し堅苦しい文章ですよね?
「意味がわからない」といって安易にわかりやすい挨拶文を使うことはNG!
使い方のポイントは、招待状の差出人名や結婚式のスタイルで選ぶようにしましょう。
形式を重んじる結婚式
一般的な結婚式なら形式を重視し、漢語調がおすすめです。
- 招待状の差出人名を両親の名前にする
- 親族や会社関係のゲストが多い
- 形式を重んじた結婚式にする
このような結婚式なら漢語調の時候の挨拶を選びましょう。また、迷ったときも漢語調なら失礼がなく無難です。
カジュアルな結婚式
カジュアルな結婚式なら口語調がおすすめです。
- 招待ゲストは友人が多い
- パーティーのようなカジュアルな結婚式
- 二次会の招待状
「空の色もいつしか秋めき」ような口語調は受け取ったゲストは親しみやすい印象を受けます。
口語調は決まりがなく、本文と併せて自分達らしくアレンジできるメリットもありますよ。
[文例集] 時候の挨拶と本文の位置
いよいよ具体的に時候の挨拶の例文を紹介します。
結婚式の招待状で”そのまま使える”ものを厳選しているため、招待状の投函月に応じて例文から選ぶと簡単に決めることができます。また、本文にいれる位置を例文もあわせて紹介します。
月別の時候の挨拶
1月
- 新春の候
- 初春の候
- 大寒の候
- 厳冬の候
- 新しい年が始まりましたが
- いよいよ寒気がつのり
- 寒さ厳しき折ではございますが
- 本格的な冬の到来を迎え
- 冬の空気が美しく澄む頃
- 真冬の澄んだ空気が街を包む季節
2月
- 立春の候
- 早春の候
- 向春の候
- 梅花の候
- 梅鶯の候
- 解氷の候
- いくらか寒さもゆるみ
- 梅のつぼみもふくらみ
- 水ぬるむ季節となり
- 何となく春めいて参りましたが
- 暦の上ではもう春ですが
- 午後の穏やかな光に春の兆しを感じる頃
3月
- 早春の候
- 春分の候
- 春暖の候
- 弥生の候
- 啓蟄の候
- 浅春の候
- 寒さも彼岸までと申しますが
- 春まだ浅い今日この頃ですが
- ようやく春めいて参りましたが
- 春光うららかな季節となりました
- 桃の香りとともに春めく頃
- 花の便りとともに街が春色に染まる季節
4月
- 春暖の候
- 桜花の候
- 春色の候
- 陽春の候
- 春らんまんの季節を迎えましたが
- 花吹雪が舞うこのごろ
- 花便りが各地から届くこのごろ
- 若葉の萌え立つ今日このごろ
- 野に花の香り漂う頃
- 優しい春の日差しが心地よい季節
5月
- 薫風の候
- 青葉の候
- 新緑の候
- 初夏の候
- 立夏の候
- 軽暑の候
- 風薫る五月がやって参りましたが
- さわやかな季節となりました
- 気持ちのよい五月晴れが続きますが
- みどりの風が舞う頃
- 緑風の香りさわやかな季節
6月
- 初夏の候
- 梅雨の候
- 入梅の候
- 向暑の候
- 小夏の候
- 長雨の候
- さわやかな初夏を迎え
- 青葉若葉のみぎり
- 庭のあじさいが見頃となりましたが
- 梅雨明けが待たれる今日このごろですが
- あじさいの花が色濃くなる頃
- 青葉が目にしみる季節
7月
- 盛夏の候
- 炎暑の候
- 大暑の候
- 酷暑の候
- 長かった梅雨もようやく開け
- いよいよ夏本番ですが
- 暑さ厳しき折
- 炎暑しのぎがたいこのごろですが
- 蝉の声が夏空に響く頃
- 夏の青空がまぶしい季節
8月
- 残暑の候
- 晩夏の候
- 残夏の候
- 立秋の候
- 残暑厳しき折
- ひと雨欲しい今日このごろ
- 秋にはまだ遠く
- 立秋とは名ばかりの暑さが続いておりますが
- 眩しく太陽がきらめく頃
- 夕風の優しい香りに秋の兆しを感じる季節
9月
- 初秋の候
- 新涼の候
- 新秋の候
- 重陽の候
- 朝夕はずいぶん涼しくなりましたが
- さわやかな季節を迎え
- すがすがしい秋晴れがつづきますが
- 秋色次第に濃くなって参りましたが
- 空高く澄みわたる頃
- 秋の夜長をしみじみ感じる季節
10月
- 秋涼の候
- 清秋の候
- 錦秋の候
- 紅葉の候
- 菊薫る今日このごろ
- めっきり涼しくなって参りましたが
- 日増しに秋の深まりを感じる今日このごろ
- 爽やかな秋晴れの日が続いておりますが
- 山々が華やかに色づく頃
- うららかな秋晴れの続く季節
11月
- 晩秋の候
- 向寒の候
- 暮秋の候
- 初霜の候
- 菊花の候
- 立冬の候
- 日に日に秋が深まって参りましたが
- 鮮やかな紅葉の季節となりましたが
- 日増しに寒さもつのり
- 冬の到来を感じる今日このごろ
- おだやかな日差しに包まれる頃
- 秋の気配がますます深まる季節
12月
- 初冬の候
- 師走の候
- 歳末の候
- 寒冷の候
- 初雪の候
- 早いものでもう師走ですが
- めっきり寒くなりましたが
- 初雪のたよりが届く今日このごろ
- 年の瀬もおしせまって参りましたが
- 清らかな冬の空気がはずむ頃
- 師走の風が身にしみる季節
時候の挨拶と本文との組み合わせ方
時候の挨拶は、謹啓や拝啓など頭語の直後に続く形で使います。
1月に投函する招待状の文例を元に『時候の挨拶』の使う位置を紹介します。
- 謹啓 新春の候 皆様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます
- 謹啓 厳冬の候 皆様にはお健やかにお過ごしのこととお慶び申し上げます
- 拝啓 寒さ厳しき折ではございますが 皆様いかがお過ごしでしょうか
- 拝啓 冬の空気が美しく澄む頃 いかがお過ごしでしょうか
※太字が時候の挨拶です
このように自然な流れで文章がつながるように時候の挨拶をいれます。時候の挨拶文のあとに、
- 皆様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます
- 皆様いかがお過ごしでしょうか
などの文章を使うと、どの時候の挨拶でも違和感なく馴染むのでオススメですね!
時候の挨拶のまとめ
- 結婚式招待状の文章には時候の挨拶は必ず入れる
- 時候の挨拶は挙式日ではなく投函日を基準にする
- 差出人や結婚式のスタイルに併せて漢語調か口語調かを決める
- 口語調の場合は自分なりに自由にアレンジしてもOK
時候の挨拶は結婚式の招待状だけでなく、ビジネスシーンでも使うことが多々あると思いますので、これを機会に少しでも時候の挨拶に対する理解を深めておきましょう!