婚姻届の証人欄には、成人している2名の署名捺印が必要です。
証人を保証人と勘違いして「リスクがありそう」と心配するかもしれませんが、婚姻届の証人にリスクはほとんどありません。
今回は、法律の専門家である弁護士の岡田崇先生に協力をいただき、婚姻届の証人について解説します。
婚姻届に必要な証人の条件
左側は結婚をするおふたりが記入し、右側は別の人に記入していただく必要があります。
黄色の箇所が証人欄です
証人の条件は、ふたつだけ。
民法第739条(婚姻の届出)に定義されています。
※(婚姻の届出)
第七百三十九条 婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
2 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。引用元: 民法(e-Gov法令検索)
要約すると以下のふたつが条件です。
- 成人している
- 二人以上の署名捺印が必要
成人していれば誰でもOK。
血縁関係は不要なので、会社の社長や上司、友人でも構いません。
【弁護士回答】婚姻届の証人のリスク
以下では、婚姻届の証人になるリスクについて、岡田弁護士の見解を記載いたします。
岡田弁護士のプロフィール
弁護士岡田 崇 先生
岡田崇法律事務所所長。民事・家事・刑事事件など幅広く多数の法律相談に携わっている。消費者問題や近年複雑化するインターネット関連の問題、親子の親権問題など個人相談者の目線に立った親切な相談対応が特徴。
婚姻届の証人とはなんですか?
当事者双方が婚姻の意思を有しているかを確認するために民法で設けられた制度で、2名の証人に婚姻届に記入し、署名してもらう必要があります。
証人になることでリスクはありますでしょうか?
婚姻届の証人が、当事者双方の婚姻の意思をきちんと確認していれば、リスクはありません。
もっとも裁判例では、婚姻届提出後に当事者の一方の婚姻の意思がなかったとして婚姻無効になった事例があります。
証人は婚姻当事者の婚姻意思を確認した上で署名捺印すべきであり、本件では少なくとも自らの側の当事者(証人の妹)の婚姻意思を確認すべき注意義務があったところ、かかる義務を怠ったとして、損害賠償の責任を負うとされたものもあります。
平29(ワ)11825号
東京地裁 令和元年7月26日判決
保証人と何が違うのでしょうか?
保証人は、主債務者が返済できなかったときに代わりに返済する義務がありますが、婚姻届の証人は、当事者が離婚することになっても責任を負うことはありません。
親以外に依頼するのは慎重に!
上記のとおり基本的に婚姻届の証人になるリスクは、ほとんどありません。
しかし、両親や兄弟・姉妹以外に依頼をする場合、証人について知らない人もいるため注意が必要です。
親に証人を依頼する人は約7割
アンシェウェディングが実施したアンケートでは、
していました。- 結婚は親同士もつながりをもつから
- もっとも身近な存在だから
- 結婚をもっとも喜んでくれるのが親だから
両親以外に証人を頼んだ理由
約3割が両親以外に依頼していました。
上司や友人、会社の同期、兄弟や姉妹など依頼した相手はさまざまです。
- 上司が人格者で尊敬しているから
- 両親が遠方に住んでいるため親戚にしました
- 社内結婚だったので社長と部長にお願いした
- 同期との結婚だったので同期に依頼をした
証人の説明を忘れずに!
「なんだかよく分からないけど怖い」
「証人って保証人?」
いきなり「証人になって!」と言うと不安になる人も。
実際に証人=保証人と勘違いする人もいるため、 もしましょう。
友人に証人を依頼するなら……
一生に一度の婚姻届だから大切な○○ちゃんにお願いしたい
上司に証人を依頼するなら……
○○さんのような夫婦に憧れているから証人になっていただきたい
なぜその人に依頼したかを伝えるのも◎
事前の結婚報告はもちろんのこと、婚姻届の証人が保証人とは違うことの説明も忘れずに!
1分で振り返り
この記事のまとめ
今回は証人のリスクを解説しました。
婚姻届の証人にリスクは、ほとんどありませんが、不安に思う人は少なからずいます。ご両親以外に証人を頼むなら、しっかり説明した上で依頼をしましょう。