できれば不備なく受理してもらいたい婚姻届。
官公庁への提出書類のプロである していただき、婚姻届の書き方を説明します。
いきなり書き始めるのは失敗の原因!
実際の記入例を紹介しながら説明するので、まずは全体を把握してから書くとスムーズに記入できるはずです!
婚姻届の書き方[事前準備編]
婚姻届を作成する前に以下を準備しましょう。
用意するもの
ボールペン
線の太さは関係なく、書きやすいボールペンで構いません。
鉛筆やフリクションボールペン(消せるボールペン)は不受理の原因となるためNGです。
印鑑
シャチハタとゴム印は、劣化する恐れがあるためNGです。
夫婦となるおふたりの”旧姓”の印鑑をつかいます。
戸籍謄本
本籍以外の役所へ婚姻届を提出する場合のみ必要です。
役所によっては「◯ヶ月以内の戸籍謄本」と指定しているため提出日を決めてから、請求の手続きをしましょう。
婚姻届の名前は戸籍謄本に記載されている名前を記入しなければなりません。
住民票
婚姻届の提出には関係ありませんが、
手数料は300円ですので、手間じゃなければ住民票の取得がオススメです。
婚姻届の住所欄は住民票に記載の住所を記入します。
誰から書く?婚姻届を記入する人の順番
婚姻届へ記入をする人は以下の4名が必要です。
- 夫になる人
- 妻になる人
- 証人×2名
基本的に夫婦になる人が先に書き、
理由は、婚姻届に記載した事実を証明するのが証人だからです。
証人の順序はどうする?
証人の順序にルールはありません。
決まりではありませんが、王道のパターンを紹介します。
そもそも証人の条件とは?
成人している&結婚の事実を知る人×2名が必要になるため、多くのカップルは、彼が1人・彼女が1人の証人へ依頼をしています。
上記を前提とすると……
- 彼が依頼する証人の人に書いてもらう
- 彼女が依頼する証人の人に書いてもらう
という手順がオススメ。
たとえば父親に依頼するなら『1.彼の父親が記入、2.彼女の父親が記入』となります。
理由は新郎新婦さまの記入欄も、左が夫で右が妻だから。
もちろん逆でも構いませんし、両親の性格や婿養子かどうか?で判断してみてください。
確実に、丁寧に記入するための3つのポイント
婚姻届は法律上の夫婦になる公的な手続き。
そのため記入内容には正確性が求められ、たった1文字の間違いでも受理されないこともあります。
- 鉛筆で下書きをする
- 婚姻届の用紙は複数枚、用意する(間違えたときに書き直す)
- 本籍や住所、氏名は住民票や戸籍謄本どおりに書く
「◯月◯日に入籍したい」という希望があれば、下書きした婚姻届で役所に確認するのもオススメだよ。
婚姻届の書き方[記入編]
続いては、実際の婚姻届を元に書き方を説明していきます。
使用した婚姻届は、一般的な婚姻届ですが、どの役所で入手しても大きな違いはありません。
画像でチェック!婚姻届の記入欄
記入欄は以下の枠内のみ。
左側は彼と彼女が記入し、右側は証人の方へ記入していただきます。
※右下の連絡先は彼と彼女が記入します
【実例】婚姻届の書き方ガイド
以下ではオススメの記入順にあわせて説明します。
氏名
夫婦となる者それぞれの
ふりがなも忘れずに、戸籍謄本の漢字を一字一句転記しましょう。
注意点は住民票と戸籍謄本で氏名が異なる人もいること。
旧漢字かどうかわからない場合は、戸籍謄本の請求がオススメです。
生年月日
生年月日は
たとえば誕生日が1990年2月24日なら『平成2年2月24日』と記入します。
住所(住民登録をしているところ)
住民登録をしているところの住所を記入します。
正確には で、部屋番号のありなしはよくある間違いです。
世帯主
住所欄の下には『世帯主の氏名』を書きます。
住民票上で世帯主になっている者の氏名となり、わからなければ住民票が必要です。
婚姻届の提出と転居が同じ時期
以下に該当する場合は、住所の欄に新居の住所を記載しても構いません。
- 新居に引っ越す予定がある(転入届あるいは転出届の手続済)
- 婚姻届と同時に転入届あるいは転出届の手続きをおこなう
婚姻届と同時に転出・転入届の手続きをおこなう場合、手続き手順を役所に確認をすると安心です。
本籍
住民票にも本籍・筆頭者の記載されますが、申請する際に必要内容欄のチェックが必要です。
以下のように記載したい内容欄にチェックをいれて申請をします。
筆頭者
本籍地の下には戸籍の筆頭者を記入します。
未婚ならほとんどの人は、 のはずです。
父母の氏名
書き方のパターンが4つあります。
- 両親が生存していて婚姻中である
- 離婚している
- 死別している
- 養親である
両親とも生存しており婚姻が継続している、または死別
両親の氏名を
母親は、姓を省いて名前だけで構いません。死別でも空欄にせず、同様に記入します。
離婚している
両親が離婚している場合は、
を記入します。養子縁組
養子縁組は少し注意が必要です。
養子は『普通養子』であるか『特別養子』かで、書き方は変わります。
- 普通養子
実父母とも法律上の関係が切れません。
そのため父母の氏名欄には実父母の名前を、養父母の名前は後述する『その他』の欄に記入します。 - 特別養子
法律上も実父母との関係が切れます。
そのため父母の氏名欄に、養父母の名前を書けばOKです。
続き柄
続き柄とは
注意点は戸籍謄本どおりに書くため漢数字を使います。
- 長男長男
- 次男二男
- 次女二女
- 三男三男
- 三女三女
とくに次男や次女の方は気をつけましょう。
また続き柄の欄は、予め『男』と『女』と記載されているため『長(男)』や『二(女)』とだけ記載しましょう。
婚姻後の夫婦の氏
結婚後に夫婦
『夫の氏』『妻の氏』のどちらかチェックした氏が、新しくつくる戸籍の筆頭者です。
戸籍の最初に記載されるだけ。
男性が筆頭者になることが多いですが、養子縁組とは違って扶養や相続の問題は発生しません。とはいえ筆頭者は後から変えることができず、名乗る苗字になるため慎重に選びましょう。
新しい本籍
地番が存在すれば
たとえばUSJやディズニー、東京タワーやランドマークタワーなど、有名スポットを選ぶひともいますが……
ほとんどの夫婦が、新居や実家の住所を選択。
戸籍謄本を取得する機会は少ないものの、将来的に子どもが困る可能性はありますので、ご夫婦でよく話し合いましょう。
再婚や分籍の場合、筆頭者となる人の戸籍がすでにある状態。
新しい戸籍はつくられず、既にある戸籍に夫婦で入ることになるので、新本籍は記入しません。
同居を始めた時
- 夫婦となる者が同居を始めた時
- 結婚式を挙げた日
どちらか早い方の年月日を記入します。
結婚式を挙げておらず、同居した日を正確に覚えていない場合は、 します。
同居もしていないし、結婚式も挙げていないのであれば空欄で構いません。
初婚・再婚の別
今回の婚姻が、初婚か再婚かを選んでチェックを入れます。
離婚あるいは死別しており、再婚の場合は、年月日まで記入しましょう。
同居を始める前の夫妻のそれぞれの世帯のおもな仕事
同居前の世帯でどんな仕事をしていたかを答える項目です。
同居を始める前なので、親と同居・一人暮らしで、少しだけ書き方が異なります。
一人暮らし | あなたの仕事 |
親と同居 | 親が稼ぎ頭だった場合は親の仕事 |
記載されている1~6の仕事内容のうち最も近いものを選んでチェックします。
世帯のおもな仕事の選択肢
選択肢は6つです。
どれを選べばいいか迷ったときの参考にしてみてください。
- 農業だけまたは農業とその他の仕事を持っている世帯
農家や兼業農家の方が該当します。 - 自由業・商工業・サービス業等を個人で経営している世帯
個人事業主の方が該当します。 - 企業・個人商店等(官公庁は除く)の常用勤労者世帯で勤め先の従業者数が1人から99人までの世帯(日々または1年未満の契約の雇用者は5)
従業員が1~99人の一般企業の正社員もしくは契約期間が1年以上の契約社員の方が該当します。(公務員は除く) - 3にあてはまらない常用勤労者世帯及び会社団体の役員の世帯(日々または1年未満の契約の雇用者は5
従業員が100人以上の一般企業の正社員もしくは契約期間が1年以上の契約社員の方または役員、公務員が該当します。 - 1から4にあてはまらないその他の仕事をしている者のいる世帯
1~4に該当しない一般企業に勤務している方、契約期間が1年未満の社員の方が該当します。 - 仕事をしている者のいない世帯
働いていない方が該当します。
夫妻の職業
この欄は国勢調査(※)が行われる年にだけ記入が必要。
直近では令和2年4月1日~令和3年3月31日までに婚姻届を提出する場合は記入します。
国勢調査とは5年に一度実施される重要な統計調査です。回答は法律で義務付けられており、行政上の施策や各種基礎資料などに役立てられます。2020年の国勢調査は、実施100年の節目の年でもあります。
引用元: 国勢調査2020総合サイト
国勢調査以外の年は空欄のままでOK。
国勢調査が行われるのは5の倍数の年で、2020年・2025年・2030年となります。
職業は任意方式ではなく、事前に決められています。
国勢調査が行われる年には、婚姻届の提出先の役所窓口に『職業・産業例示表』という職業の一覧表が張り出されるので、その中から一番近いものを選んで記入します。
その他
この欄は必ず記入するわけではありません。
使用するのは主に以下の3つのケースです。
- 普通養子
『父母の氏名』欄には実父母の名前を書き、『その他』欄には養父母の氏名を記入します。
- 未成年者
両親が同意する旨を記載して押印します。
たとえば「山田太郎の婚姻に同意します。夫の父 山田史郎 夫の母 山田花子」など。婚姻届とは別に同意書を作って提出でも問題ありません。 - 氏名の漢字を旧字体から新字体に変更したい
戸籍謄本の漢字が旧字体の場合、この欄を使って新字体に変更できます。
『氏名』欄は新字体で記入、『その他』欄に変更したい旨を書き旧姓の印鑑で押印します。
たとえば「夫の氏について「國」を「国」に変更します」と書き押印します。
届出人署名押印
夫婦となる者双方の婚姻前の氏名を記入して押印します。
ふりがなは必要ありません。
連絡先
連絡先の電話番号を記入します。
不備があった時には役所から電話がかかってくるので、 を記載しておきます。
証人
証人は成人している二人の方に依頼をします。
- 氏名
- 生年月日
- 住所
- 本籍
代筆はできません。
証人となる方に してもらいましょう。
夫婦と同じ苗字の二人が証人になる場合、同じ印鑑はつかえません。
提出日と提出先
婚姻届の用紙の提出日です。
内容に不備がなく受理されると、届出日が役所での受理日となり、これがそのまま となります。
夜間や土日祝日に提出すると、一旦守衛さんなどが受け取って翌開庁日に担当部署に渡されることがあります。
このような場合でも、内容に問題がなければ提出日=受理日になります。
『◯◯長 殿』は提出先を記入します。
行政関係の手続きは役所ではなく、行政機関の長宛に提出するため市区町村長が提出先です。
たとえば『新宿区長 殿』や『町田市長 殿』と記入します。
捨印
開庁時間内に提出するなら捨印はなくても構いません。
開庁時間外(夜間や土日、祝日など)に提出するなら、捨印をしておくのがオススメです。
捨印欄がない婚姻届の場合は、以下のように
します。訂正が必要な個所が発覚した際に、役所の担当者の判断で軽微な修正を行えます。ただし軽微な記入ミスなら、捨印がなくても役所に訂正の職権があります。
間違えた場合の訂正方法
婚姻届は間違えて書いても修正液を使うのはNG。
以下のように二重線を引いて、捨印を押印するだけ。
訂正印は間違えた箇所によっては必要。
署名欄の間違いは訂正印を、それ以外は訂正印は基本的に不要ですが、役所によって異なる場合もありますので、提出先の役所に確認すると確実です。
新郎新婦さまの記入欄なら新しい用紙への書き直しがオススメです。
証人欄の軽微な間違いは、役所の担当者が修正してくれることもあるので、不安な方は役所へ電話で確認をすると安心できると思います。
1分で振り返り
この記事のまとめ
今回は記入例を元に婚姻届の書き方を説明しました。
ミスなく確実に記入するなら少しお金はかかりますが、住民票と戸籍謄本があると確実です。
完成版も用意したので、参考にしながら記入してみてください。
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