結納は2人の婚約を正式なものにするための重要な意味を持つ儀式であり、結婚式前の家同士の顔合わせとなる大切な日です。日本に古くからある慣習なので、地域の風習や家ごとのしきたりなど、結納ならではのマナーがあります。
今回は事前に決めておくべきことや当日の進行について知っておくとためになる情報をご紹介いたします。
結納の進め方
結納式を滞りなく進めるためには、
- 実施日
- 時間
- 場所
- 結納のスタイル
実施日
最初に決めなければならないのが結納の日時です。
挙式の3~6ヶ月前に行われることが多く、平均的に挙式の6.6ヶ月前に実施するカップルが多くなっています。
以下は挙式日を基準に「挙式日の○ヶ月前に結納をしたか?」の集計をした表になります。6ヶ月前に実施できれば挙式までのスケジュールにも余裕がでると思います。
結納の実施時期
実施時期 | 割合 |
---|---|
13ヶ月以上前 | 7.9% |
12ヶ月前 | 6.4% |
11ヶ月前 | 1.8% |
10ヶ月前 | 3.9% |
9ヶ月前 | 4.7% |
8ヶ月前 | 5.7% |
7ヶ月前 | 11.6% |
6ヶ月前 | 16.8% |
5ヶ月前 | 13.8% |
4ヶ月前 | 11.7% |
3ヶ月前 | 7.6% |
2ヶ月前 | 5.2% |
1ヶ月以内 | 2.3% |
時間
実施日が決まったら次は時間帯です。
一般的には午前10時半~11時頃に開始し、その後祝い膳を囲んで午後3時頃にお開きが基本の流れ。
ただし、遠方からだと午前中には間に合わないこともあります。そのためご両家でよく話し合って決めるとスムーズに進行できるはずです。
結納の日取りは縁起の良い日が好まれますが、最近では集まりやすい休日が選ばれる傾向も強くなっています。詳しくは結納にふさわしい日取りは?をご覧ください。
場所
正式結納では新婦の実家が基本ですが、現在で主流の略式結納になるとホテルや料亭で結納を行うことが一般化しています。
大安など縁起の良い日は人気があるため、予約が埋まってしまうことも。早めにスケジュールをたてるようにしましょう。
結納のスタイル
最後は結納のスタイルについてです。
難しく感じるかもしれませんが、3つの形式しかありません。
- 正式結納
- 略式結納(仲人あり)
- 略式結納(仲人なし)
結納スタイルの種類
正式結納 | 仲人が両家を行き来して結納品と受書を受け渡し、両家同士は顔を合わせないスタイル |
---|---|
略式結納(仲人あり) | 両家と仲人がホテルや料亭、新婦側の家に一同に会し、仲人が進行役を務めます |
略式結納(仲人なし) | 現在の主流。仲人を設けず当日の進行役を新郎側の父親が務めるのが一般的 |
仲人ありのスタイルは全体の約1.1%。 多くのカップルが仲人なしの略式結納を行っています。どのスタイルを選択するかによって、当日の流れも異なります。
結納スタイル別の当日の流れ
以下では結納スタイル別に当日の流れや注意点をご紹介します。
正式結納の流れ
仲人が両家の間を行き来して結納品と受書を受け渡します。一般的な順序を進行結納が進行します。
- 仲人が新郎宅で結納品を受け取る
仲人が新郎宅を訪問し、口上を述べた後、新郎側からの結納品を受け取って退出します - 仲人が新婦宅で結納品の受け渡し
仲人は新婦宅を訪問し、口上を述べて新郎側からの結納品を渡し、新婦側から預かった受書と結納品を受け取って退出します - 新郎宅で新婦側からの結納品を納める
仲人は再び新郎宅へ行き、口上を述べて新婦側からの受書と結納品を渡し、その後に新郎側は受書を渡し、祝い膳で仲人をもてなします - 仲人が新婦宅で受書を渡す
仲人は再び新婦宅へ戻り、口上を述べて新郎側からの受書を渡します - 仲人をもてなす
新婦側は受書を受け取った後、仲人を酒肴で労います
「結納は伝統あるスタイルで!」と考えている家やしきたりを重んじる家では、正式結納が選ばれますが、移動が多いため両家が遠方の場合は仲人に負担がかかります。
略式結納(仲人あり)の流れ
続いては仲人ありの略式結納の流れです。
- 入室して結納品を飾る
新郎側が先に入室して結納品と受書を置いて着席後、新婦側が入室して同様に置いて着席します - 新郎側の父親の挨拶
両家が着座したら、まずは両家を代表して、新郎の父親が挨拶後、一同礼をします - 仲人の挨拶
次に仲人が口上を述べ、一同深く礼をします - 新郎側が仲人に結納品を渡す
新郎の母親が上座に進み、結納品と家族書を乗せた台を持って仲人の前まで運び席に戻ったら新郎の父親が口上を述べます - 仲人が結納品を新婦側に納める
仲人夫人が結納品を新婦の前に運び、仲人夫人が元の席に戻ったら、仲人が口上を述べて礼をします - 新婦側が目録を確認する
新婦側は礼を返し、最初に新婦が目録に目を通し続いて父親・母親も目を通したら、目録を新婦本人に戻し、新婦本人・父親の順に礼を述べます - 新婦側が結納品を飾り受書を仲人に渡す
新婦の母親は結納品を上座に運び、贈られた結納品を飾った後、受書を仲人の前に置きます。母親が席に戻ったら、女性の父親が口上を述べます - 新婦側からの結納品を贈る
4~7の要領で今度は新婦側からの結納品を新郎側に贈ります - 結びの挨拶・会食
仲人が祝いの口上を述べ、両家で仲人へ感謝の気持ちを伝え終了です
記念撮影は結納式と会食の間のタイミングがおすすめ。会食前に和やかな雰囲気を作ることもでき、お酒が入って顔が赤くなる前に写真を撮ることができます。華やかな和装姿や綺麗に飾った結納品を前に両家が揃った写真はプロフィールムービーや印刷物にも役立ちます。
結納方法は地域によって異なります
ここで紹介したのは両家が互いに結納品を納める形式です。しかし、結納品の品目や飾り方・結納の進め方など、結納は地域によって異なっており、大きく分けると関東式と関西式の2つの形式があります。
- 関東式
女性の立場を男性と同格と見なし、結納品を交換するのが一般的です - 関西式
関西や九州では結納は男性から女性へ贈るものという考え方が強く、結納品を用意するのは男性のみとなり、「8」の新婦側から新郎側に結納品を贈る工程は不要です
尚、九州では結納品に加え、新郎側が新婦宅に酒一升や鯛1尾を持参する風習がある他、お茶が重要な結納品のに数えられます。地域によっては結納式後にご近所や親戚に結納品をお披露目する「お茶開き」という風習もあるので、ご両親に確認をしておきましょう。
略式結納(仲人なし)の流れ
最近のトレンドは仲人をたてない略式結納です。正式?略式?読めばわかる結納の流れ 所要時間は約20分で仲人がいないため一般的には進行役を務めるのが新郎の父親であるという点が大きな違いです。
- 入室して結納品を飾り着席
新郎側が入室した後に新婦側が入室し、全員揃ったら両家が挨拶をします - 新郎側の父親が挨拶
新郎の父親が初めの挨拶をします - 新郎側からの結納品を納める
新郎の母親が結納品を飾り台ごと新婦本人の前まで運び、新郎の父親が口上を述べ深く一礼します - 新婦側が目録を確認して受書を渡す
新婦側全員が目録に目を通し、新婦が口上を述べた後、新婦の母親が結納品を飾り台に運び、受書を新郎の父親もしくは新郎に渡します。新郎側が受書を確認したら、新郎が口上を述べます(関西式ではここで結びの挨拶をして終了です) - 新婦側からの結納品を納める
3・4の工程と同様に新婦側からの結納品を納めます - 結びの挨拶、会食
新郎の父親が結納が無事終わったことを宣言する結びの口上を、新婦の父親が返礼の口上を述べ結納は終了です
最近では、ホテルや式場・料亭で「結納パック」や「結納プラン」という食事や飲み物・装花・部屋など必要サービスがパッケージ化されているプランがあります。プロカメラマンによる写真撮影もできるので、結納の姿を記念に残しておきたい方は是非利用しましょう。
結納で気をつけておきたい2つのマナー
最後に結納の際に気をつけておきたい席次マナーと仲人への謝礼に関するマナーの2つをご紹介します。
席次マナー
一般的に新郎側が新婦宅へ出向くのが結納の本来の姿であることから新郎側が「お客」として上座に座ります。
仲人は、結納品に背を向けてはいけないということから、結納式の間は一番下座へ着席するのが一般的なスタイルとなっています。結納式が終了し、会食となったら一番上座へ移動すると良いでしょう。
尚、両親と本人の並び順は、本人主体か家主体かによって変わります。
仲人をたてる本格的な結納や関西では、家が主体となり両親が上座に座ることが多く、本人主体の席次は本人同士の結びつきを重んじる関東でよくみられます。
しきたりを重んじるか、本人同士の結びつきを重んじるかを両家で相談しながら席次を決めると良いでしょう。
本人主体
上座に本人が座り、続いて父、母と続きます。
- 上座:新郎側 本人→父→母
- 下座:新婦側 本人→父→母
※もしも窓から眺めの良い景色や綺麗な庭がある場所なら上座と下座が逆になります
家主体
家同士の結びつきを重んじることから、両親が上座に座ります。
- 上座:新郎側 父→母→本人
- 下座:新婦側 父→母→本人
※本人主体と同じく窓から眺めの良い景色や綺麗な庭がある場所なら上座と下座が逆になります
親戚や兄弟が参加する場合
地域や家によっては結納式から親戚や兄弟が参加することもしたり、顔合わせも兼ねて結納後の食事会から参加するケースもあります。
もしも兄弟や親戚が同席する場合は、末席に並ぶようにしましょう。
仲人への謝礼
仲人は両家の間に入り、進行役や結納品のやり取りなど結納の儀式をとりもつだけでなく、結婚式後も二人を見守ってもらう存在となります。
今後も長い付き合いになる仲人夫妻には感謝の気持ちだけでなく、きちんとしたお礼を渡すのも大切なマナーです。
仲人へのお礼には大きくわけて次の4つがあります。各項目の内容や金額の目安を見てみましょう。
御礼
御礼は仲人役をつとめてもらうことに対する謝礼です。
略式結納 | 結納金の1割程度 |
正式結納 | 結納金の1~2割程度 |
結納前にお見合いの段階から仲人にお世話になっている場合は、仲人に負担がかかるため多めに謝礼を渡します。
御車代
御車代は片道分ずつ両家それぞれから渡すことが多いです。
実際の交通手段に関わらず、仲人の自宅から結納会場までのタクシー往復料金相当額が目安となります。
遠方から新幹線などを利用して来る場合はチケット代も全て負担するのが基本です。家が近く渡す金額が少なくなる場合は、実際の交通費の2~3倍にしてきりの良い金額に調整しましょう。
御酒肴料(ごしゅこうりょう)
御酒肴料とは飲食代にあたるお金です。
通常は、結納式の後に「お祝い膳」として両家が仲人をもてなす食事会をしますが、仲人が食事を辞退したり、会食の時間がない場合は、代わりに酒肴料としてお金を包みます。
仲人2人分で2、3万円程度が金額の目安です。また、結納の終了時間が昼食の時間帯になる場合は酒肴料と併せてお弁当(折り詰め)を渡すとより丁寧です。
手土産
新婦側は結納を納めた新郎側へ1組、仲人へも1組、おもてなしのために引出物として手土産を渡します。
地元の特産品やお菓子、果物の他、赤飯やかつお節などの縁起物を贈る地域もあります。5,000円程度を目安に引出物を選びましょう。
御礼を渡すタイミング
結納当日は御車代、手土産、御酒肴料(祝い膳がない場合)のみを渡し、後日改めて仲人宅を訪ねて御礼を渡すのが正式な方法です。しかし、最近では、結納当日に結納が終わったタイミングで御礼も含めて渡すことも多いようです。
披露宴での媒酌人を依頼している場合は、結納当日は御車代のみを渡し、結婚式終了後に御礼を渡しても問題ありません。