結納は婚約を正式なものにするための伝統的な儀式。
結納品や作法など全てにおいて結納独特のマナーがあります。もちろん、服装にも様々な決まりごとがあり、新郎新婦だけでなく、両家の父、母や仲人など、各自に結納に相応しいとされる服装が決められています。
結納という大切な場で相手に失礼がないように、服装で気をつけておくべきポイントについてご紹介いたします。
服装の基本は両家の格を揃えること
結納の服装で最も大切なことが”両家の格を揃える”こと。服装には、格の高い順に以下の4つがあり、結納ではその場にふさわしい格の服装を選ぶ必要があります。
- 正礼装
- 準礼装
- 略礼装
- 略装
男性側、女性側で格を揃えるのはもちろんですが、両家の間でも差が出ないようにバランスを取ることが大切です。
『新郎側が正装で新婦側が略礼装』このような両家が異なる格の服装をすることは避けなければなりません。そのためにも新郎新婦が両親と事前に相談をして、どのような服装をするかを決めておきましょう。
服装の格とは?
服装の格といわれてもピンとこないですよね?
格を決める上で最も代表的なものは着物の紋(もん)です。「紋(もん)」とは、家や個人などを表す模様や印のこと。
留袖や袴などの着物は紋を入れることで格が上がります。最も格式の高いのが五つ紋、次いで三つ紋、一つ紋というように、紋の数が多いほど格が高いといわれています。同じ色留袖を選んだとしても…
- 五つ紋:第一礼装
- 三つ紋や一つ紋:略礼装
と格は異なります。そのため細かい部分まで両家で打ち合わせをする必要があるのです。また、振袖は格が高いので他の参加者の服装と差が出てしまわないように気をつけなければなりません。
洋装にもフォーマル度の違いはある
ここまでは和装の説明でした。
もちろん洋装にもフォーマル度の違いはあります。
最もフォーマルとされるのがモーニング。
略装ならダークスーツが一般的で同じ男性の洋装といえど格が違います。やはり洋装の場合も格を揃えるように事前の打ち合わせは必須と言えるでしょう。
和装と洋装が入り混じってもいいの?
新婦が和装で新郎が洋装…なんとなくバランスが悪く感じられ、マナー違反のようにも思えます。
しかし、実は両家で格が揃っているのであれば問題はありません。
注意点として和洋が混じると格がバラバラになりやすいので気を付けましょう。
無理に統一感を出す必要はないので新婦の方の気持ちを優先したいですね。
仲人ありの結納は気を付けて
もしも仲人ありの結納をするなら両家だけでなく仲人の服装も意識する必要があります。
仲人だけが格が違うのも失礼にあたりますし、仲人が恥をかくことに。
結納の進行役となる仲人を立てるためにも服装の擦り合わせをしておくことが必要です。
結納の種類別 服装パターン
ここまで説明をすると結納はカチッとした正装でなければならないと思いがち。しかし、結納は必ずしも高い格の服を着ておけば良いというわけではありません。
カジュアルな席に第一礼装を着ると逆に浮いてしまうことも。結納は大きく分けると、
- 昔ながらの伝統的な「正式結納」
- 堅苦しさの少ない「略式結納」
正装の服装パターン
まずは正装の服装からご紹介します。
正式結納のときに選ぶ新郎新婦が多いです。
新郎
和装 | 五つ紋付羽織、袴 |
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洋装 | モーニング |
和装
五つ紋付は、背中・両袖の後ろの2カ所・両胸の2カ所の計5カ所に家紋が入った最も格の高い着物です。
洋装
パンツは黒とグレーの縞でサスペンダーを使用。
ネクタイは結納では白色で地模様のあるものが好まれますが、モーニングには縞が良いとされています。靴・靴下・ベルトは黒で統一します。
新婦
和装 | 大振袖(本振袖)、中振袖 |
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洋装 | アフタヌーンドレス |
和装
振袖は未婚女性のみ着ることができる第一礼装です。成人式が終わると結婚式が振袖を着るラストチャンス!
振袖には、大振袖・中振袖・小振袖と袖の長さによって種類が分けられます。袖が長いほど格が高くなり、正装なら大振袖や中振袖が適しています。
派手な色合いではない女性らしい色であれば、成人式で着用した振袖でも大丈夫ですよ。
洋装
アフタヌーンドレスとは、襟ぐりが浅く、裾の長さは踵まで、光沢や透け感のない素材のドレスのこと。
夏場以外は長袖が正式とされています。
夏は七分袖、半袖でも良いですが、襟元が大きく開いたものやノースリーブはマナー違反で印象も悪くなるのでご注意を!
父、男性仲人
和装 | 五つ紋付羽織・袴 |
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洋装 | モーニング |
両家の父親と男性仲人は新郎に、母親と女性仲人は新婦と格を合わせるようにします。また、両親は仲人より格上の服装とならないように気をつけましょう。
母、女性仲人
和装 | 黒留袖、五つ紋の色留袖 |
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既婚女性が着用する最も格の高い礼装が留袖です。
留袖の中でも格の違いがあり、黒留袖が格が最も高く、色留袖は紋の数が増えるほど格式が高くなります。
色留袖でも五つ紋であれば黒留袖と同格とされているので、正式結納で着用することができます。
略装の服装パターン
略式といえどドレスコードは押さえておきましょう。
新郎
和装 | 三つ紋付羽織・袴、一つ紋付羽織・袴 |
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洋装 | ブラックスーツ、ダークスーツ(チャコールグレーの無地または無地に近いもの) |
略装で新郎が和服を着るケースは少なくなっています。
定番はブラックスーツやダークスーツ。男性の最も一般的な礼服として、慶事や弔事共に使うことができます。
新婦
和装 | 振袖・訪問着 |
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洋装 | 黒以外のワンピース、ツーピース、インフォーマルドレス、アンサンブル、スーツ |
洋装を着用する女性も少なくありません。
といってもカジュアルなワンピースやかっちりとしたビジネス系のスーツは結納に相応しくありません。
パステルカラーのスーツや、ワンピースで上品かつ結納の場に華を添えるような柔らかい色合いの服装になるよう意識しましょう。
父親
和装 | 三つ紋付羽織・袴、一つ紋付羽織・袴 |
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洋装 | ブラックスーツ、ダークスーツ(チャコールグレーの無地または無地に近いもの) |
基本的には新郎と同じ。
新郎と同様、父親の場合も和装を着るケースはあまり多くありません。
母親
和装 | 訪問着・付け下げ・色無地 |
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洋装 | 黒以外のワンピースやスーツ |
和装の場合は、訪問着や付け下げなどの着物を着用し、主役となる新婦よりも控えめの柄を選ぶようにしましょう。
フォーマルな洋装を着る際はかっちりした地味な色合いになりがち。
そのためコサージュなどの小物を活用するとアクセントをつけることができます。
身だしなみの注意点
服装に気を配って身だしなみを怠れば台無しになってしまいます。
家同士の繋がりが始まる大切な儀式なのでマナーに沿った身だしなみを整えることが礼儀です。
男性と女性別に忘れがちなポイントをご紹介していきます。
男性の身だしなみ
- 髪型
人の印象を大きく左右する重要なポイント。男性は女性ほど髪型の細かいルールはありませんが清潔感を第一に考えましょう。 - ワイシャツ
白が基本中の基本。ダブルカフスだと尚良いです。 - ネクタイ
色は白やシルバー、幅は大剣が7~9cmのレギュラータイがおすすめです。 - 靴
茶色の靴はカジュアルな印象を受けるので黒がおすすめです。紐のついたものがフォーマルとされています。 - 靴下
黒の無地が無難です。靴下のチェックまで気を抜かず、かかとやつま先が擦り切れていないものを。
女性の身だしなみ
女性は、アクセサリーや香水、服の色など注意すべきマナーが数多くあります。おしゃれさよりもTPOを意識した身だしなみが大切です。- 服の色
黒は避ける(※)のが基本。清潔感や上品さが感じられる色を選びましょう。年齢に比べて幼すぎる色は浮いてしまう可能性もあるので気をつけましょう。 - 肌の露出
露出は少なく、体のラインがはっきりと分かるものは避ける。 - 香水
つけすぎは周りに不快感を与えます。結納の日には控えるのが無難です。 - アクセサリー
和装では基本的にアクセサリーは付けず、洋装でもパールなど上品なものを控えめに。 - 髪型
清楚な中にも華やかさがある髪型がおすすめ。明るい茶髪や盛り髪、結婚式のような派手できらびやかな髪型ではなく、清楚感を優先に。前髪は編み込みや顔にかからないように留め、ロングヘアの場合はアップスタイルやハーフアップがおすすめです。これは見た目だけの問題ではなく、結納ではお辞儀をする場面が度々あるため、礼をするたびに髪が崩れてしまうと相手にも失礼にあたります。
※黒でも良いとされているのは母親の正装である黒留袖のみです
このように、男性、女性ともに結納では様々な注意点がありますが、両家の結びつきを強いものにする重要な場なので、しっかりとマナーを守り、当日を迎えてくださいね。