チャペルでの結婚式で必ず流れる讃美歌。
式に参列して、牧師さんから「みんなで讃美歌を歌いましょう」と促されて、歌った経験がある人も多いでしょう。
親族や友人みんなでお祝いする暖かなチャペルでの結婚式に、彩りを添える讃美歌のハーモニー。聖歌隊の讃美歌の歌声は、オルガンの響きと共に思い出に残ります。
なぜ結婚式では賛美歌を歌うのでしょうか?
賛美歌には結婚指輪の交換にも似た素敵な意味があるんです。
讃美歌ってなに?
讃美歌は、キリスト教のプロテスタント教派が神を讃えるために歌うという目的があります。
結婚式は、男性と女性が統合する儀式。
天は男性性、大地は女性性、その2つの統合につながる結婚の儀で、神に感謝を捧げるという祈りを歌に乗せて届けるのが賛美歌なのです。そのため、チャペル挙式では参列者の人にも楽譜と歌詞が配られ「皆さんでお祈りとともに一緒に歌いましょう」と促され、列席者全員で讃美歌を通して天に祈りを捧げます。
結婚式場でのキリスト教式
チャペルが併設されている結婚式場では、信者でなくてもキリスト教の婚礼の儀のような結婚式を挙げることができます。
挙式だけでなく、披露宴での生演奏も可能。
専属の聖歌隊とオルガン奏者が、入退場の音楽として賛美歌を歌う光景は圧巻です。演出のオプションにはなりますが、華やかな結婚式をしたい人におすすめです。
讃美歌のメロディー
讃美歌は、もともとキリスト教において聖歌隊が歌うものでしたが、ラテン語だった賛美歌を、民衆でも歌いやすくするために、ドイツ語に訳され、誰もが歌えるようにと変化しました。
各国で歌い継がれている讃美歌は、
- みんなが歌いやすいように
- 覚えやすいように
なっています。各国の言葉に訳された讃美歌は、シンプルなメロディーと共に、一度聞いたらすぐに覚えられるような曲になっています。日本のチャペルでの結婚式でも、参列した人たちみんなが歌いやすいような曲が選ばれています。
結婚式で定番の讃美歌
結婚式の讃美歌といえば『いつくしみ深き(312番)』が定番です。
他にも、チャペルのスタイルによっては『いもせをちぎる(430番)』や『あいのみかみよ(429番)』など3〜4曲の讃美歌を歌うところもあります。
日本での結婚式では、讃美歌は宗教的背景よりも、結婚式の華やかさや彩りのために讃美歌を歌われることが多いです。しかし、本来、讃美歌はカップルのお祝いのために歌うと言うよりも、イエス・キリストを讃えるために歌う意味合いがあります。
「いつくしみ深き」が歌われる背景
結婚式で最もよく歌われる『いつくしみ深き』
実はこの曲は、結婚前にフィアンセを二度も亡くした作曲者が、悲しみを乗り越えるために作った曲です。歌詞には、以下のような意味合いがあります。
イエス様は私達の心の迷い、罪、憂いなどを取り去ってくださります。
イエス様は、私達が弱いことを知っています。
そして、常に愛と慈悲を持って見守って下さっています。
悲しみ悩んでいる時には、助けを求めてお祈りをして下さい。
そうすれば、いつでも私達を慰めて下さいます。
優しい友のようなイエス様。
いつも私たちの隣にいて
いつも変わらない愛を持って、私達を導いて下さいます。
アーメン
「フィアンセを亡くし、全てを失ったと思った時に、祈りを捧げればイエス・キリストは常にそばにいてくれた」という大きな気づきがあったことから生まれたこの曲には、無償の愛、無限の愛が秘められています。私たちは、見返りを求めるような条件付けの愛に、つい心を奪われがちになります。しかし、真実の愛はいつも無償の愛なのです。
この賛美歌に秘められた無償の愛。実は結婚式で指輪交換の時に、神父様と誓いの言葉のシーンにも関係があります。
病める時も、健やかなる時も、
富める時も、貧しき時も、
夫として愛し、敬い、
慈しむ事を誓いますか?
この言葉に秘められた「無償の愛を誓えますか?」という言葉。これは『いつくしみ深き』の歌詞のテーマと同じものが流れています。
結婚式で賛美歌を歌う中、条件付けではなく、隣にいる人の存在をただ愛することが出来る、これが結婚という形で祝福されていくのです。誓いの言葉の時にも讃美歌が流れるのは、大きな祝福の中で無償の愛を誓うサポートをしてくれているからです。
讃美歌の最後に添えられるアーメン
讃美歌の最後には「アーメン」という言葉が添えられます。このアーメンとは、ヘブライ語で「そうなりますように」という意味です。
讃美歌を歌うということは「神に感謝を捧げ、神の愛に触れることが出来ますように。そうなりますように」とお祈りすることになります。結婚式では、みんなで讃美歌を歌い、新郎新婦の門出をお祝いすることになるので、みんなの祝福の祈りが「そうなりますように」と続いていくのですね。
まとめ
結婚式で何気なく聞いていた讃美歌にも深い意味があったのだと思うと、より素敵に感じます。次回からは結婚式で定番といわれる賛美歌をいくつかご紹介していきます。