縁起を担ぐ結婚式には、思いもよらない”しきたり”があります。
たとえば、結婚式の招待状には句読点を使わないことがマナーとされています。
引き出物にもマナー違反とよばれるアイテムがあります。
そこで今回はタブーとされている引き出物や、選ばない方が無難な引き出物を紹介します。
選んではいけない引き出物とは?
引き出物は「縁起が良いとされる品物を持ち帰ってもらう」という前提があります。
そのため昔から不吉な言葉を連想させる贈り物は避けられてきました。
具体的には「割れる」「切れる」「消える」です。
受験シーズンに「落ちた」や「滑る」が禁句になっているのと同じですね。
マナー違反といわれてきた三種類の引き出物
昔はマナー違反とされていた引き出物でも、時代に合わせて変化しています。
昔はNGだったアイテムは以下の3つです。
- 割れる(割れ物)
- 切れる(刃物)
- 消える(消え物)
現在、上記の中で割れ物と消え物はNGではありません。
レパートリーが広がった中で、新郎新婦さま・列席するゲストの意識も寛容になってきました。
割れる(割れ物)
割れるは、”新郎新婦の仲が壊れる”を連想させるため避けられていました。
商品でいえば、陶器やガラス製品、花器などが当てはまります。
列席者が自宅に帰り、引き出物を開けてグラスが割れていたら不吉な感じがしますよね。
しかし、最近では気にする人は、ほとんどいません。
有名ブランドの参入によって割れ物であっても、引き出物に選ぶ新郎新婦さまも多いですし、ゲストとしても違和感を感じません。
ウェッジウッドやロイヤルコペンハーゲン、イッタラなどブランド食器は非常に人気があります。
切れる(刃物)
包丁やハサミなどの刃物は”縁が切れる”を連想させるため避けられてきました。
一方で、刃物である剣は「魔を切る」とも言われています。
その証拠に神前結婚式で新婦の着る白無垢の帯には懐刀という短剣が差し込まれています。
とはいえ現代においても引き出物としての刃物は敬遠しておいたほうが無難です。
ただし、カタログギフトの中にある包丁セットを問題視する人の話は、聞いたことがありません。
消える(消え物)
乾物・調味料などの食料品や洗剤などの日用品は”幸せが消える”を連想させるため避けられてきました。
しかし、食料品や日用品は消耗品として誰もが使います。
押入れにしまい込まれる引き出物より実用的だと喜ばれています。
最近はお洒落なバスソルトも増えており、気にする人は非常に少なくなっています。
こんな引き出物は喜ばれる!迷惑!?実際にもらった引き出物の感想
引き出物はセンスの問われる重要なものです。
贈る側から言えば最大限お返しの感謝の気持ちをと思い、何がいいかと頭を悩ませるものですが、やっぱり喜ばれる引き出物を贈りたいですよね。
続いては、実際にもらった引き出物の「嬉しかった」や「困った」という声を紹介。
どのアイテムにも嬉しいもあれば、ちょっとな…という声もあり、全ゲストを満足させることは難しい面もあります。
カタログギフト
- 色々選べるのでカタログギフトが一番!
- かさばらないし持って返るのが楽
- 自分ではあまり買わなそうなのがもらえるから
- 自分の好きなものを選べるから楽しい
- 値段が商品で大体予想できる
- 安いのだと欲しいものがなくて逆に困る
- 結局、申込みをしないで期限切れになる
食器
- ブランド物のワイングラスは嬉しかった
- 急須は使う頻度も高くて重宝してます
- 普段使いができる食器だと嬉しいです
- 結婚式の記念とわかるような食器は使いづらい
- 大きくて重い陶器は持って帰るのが大変だから迷惑
- 趣味の合わない食器とかはいらない
消耗品
- バスタオルはちゃんと使えるから嬉しい
- ブランド物のタオル。来客用にぴったり
- 消え物がいい。食べ物とかタオルとか!
- お酒が好きなので地酒や日本酒はうれしい
- やはり記念に残るものがいい
- 美味しい食品ならいいが、学生じゃないんだから不味くて量があるだけのはいらない
【危険度別】選ばないほうがいい引き出物
以前、私は結婚式場で引き出物のご案内をしていました。
長く引き出物をご案内していると、私の必死の説得もむなしく”選んではいけない引き出物”を選択してしまうカップルもおりました。
以下では、実体験を元に選ばない方がいい商品を危険度別に紹介します。
危険度Aの引き出物アイテム
まずは絶対に引き出物に選んではいけない商品を紹介します。
危険度Aにしたアイテムは、マナー違反や常識はずれなど、ゲストを不快な気持ちにさせる商品です。
金券
新郎新婦がお二人ともお医者さんというカップルを接客していた時のことです。
カタログギフトやその他の引き出物アイテムを紹介いたしましたが、気に入った商品が、なかなか見つかりませんでした。
聞くとゲストの方は、お医者さんが多く皆さんお金持ち。
一般的な引き出物のような商品では使ってもらえる商品がないとのことでした。結局、百貨店共通金券を自身で用意して持込みで引き出物にしていました。
実は貰って嬉しいギフトの第一位はダントツで金券です。
そのため喜ばれるゲストもいるかと思います。しかしながら、金券は引き出物では贈ってはいけないNGアイテムです。なぜなら金券は現金と同じだから。
特に年配のゲストや会社の上司からは一般常識のない奴と思われる可能性が大です。
ギフトは以下の二つに分類されます。
- 誕生日プレゼントのように贈る側からプレゼントする
- お祝いなどを貰ってお返しをする
一般的に、金券は[1]のプレゼントであり、現金の代わりとして使用されます。逆に、[2]のお返しの場合に金券は失礼とされています。
たとえば、誕生日プレゼントに祖父から1万円もらったとします。そのお返しに半分の5千円を贈ると考えてみてください。非常に失礼なことが分かるはずです。
祖父からの誕生日プレゼントなら、お礼に食事に行ったり、祖父が好きなグルメをプレゼントするというのが一般的。
引き出物もご祝儀を現金でいただくことへのお返しであるため、現金と同等とみなされる金券はNGとなるわけです。
生鮮食品
ゴルフ好きの新郎様に引き出物をご案内していた時のことです。
ゴルフ好きの方はご存知かもしれませんが、ゴルフのコンペは高級な肉や魚介類が上位の景品になっていることが多いです。
通販などでゴルフ場に肉や魚介などを送ってもらい上位入賞者が持ち帰ります。
帰りの時間を考慮し、3時間分の保冷剤が入れてあります。
このカップルは、二次会がないため3時間の保冷剤があれば引き出物として利用しても問題ないと判断したようです。結局、このカップルはゴルフの景品を手配する通販サイトで、生鮮食品を購入して引き出物にしました。
ブランド牛や蟹(カニ)は、貰うと嬉しいという方も多いと思います。しかし引き出物で頂くとなると、少し違和感を感じる方も多いはず。
二次会がなくても結婚式後に買い物や食事をして帰ることが少なくありません。とくに女性ゲストは、美容院に行ってヘアーセットをしてドレスアップもします。
せっかくなら寄り道をして帰りたいし、生臭い匂いのする生鮮食品は、持ち帰りにくい引き出物でもあります。
生鮮食品は、引き出物にしてはいけないNG商品。
なぜなら、火を通していない生鮮食品は、食中毒の危険性があるからです。結婚式場では、食中毒が発生すると参列ゲストへの保証や保健所からの営業停止命令など厳しい対応に迫られます。
そのため全ての結婚式場で食中毒に関して万全の管理を行っています。それでも結婚式場の食中毒は、年間を通じると全国で何件か発生してしまいます。
あなたの判断で贈った引き出物で食中毒が起こったら責任が取り切れないはずです。持ち帰りの不便さもありますが、”食中毒”という点から引き出物にしてはいけません。
食品を選ぶならグルメカタログギフトがオススメだよ。
危険度Bの引き出物アイテム
続いては危険度Bの引き出物アイテムです。
選んでもマナー違反にはなりませんが、あなたの評価が下がる商品となります。
勤め先の会社の商品
これは私の友人から聞いたお話です。
友人は、中学校の同級生の結婚式に参列しました。
新郎は大手加工食品の会社に勤務。
引き出物に選んだ商品は、何と自社の加工食品の詰め合わせだったそうです。後日、新郎に聞いてみると、職場関係以外のゲストは、全員の引き出物を会社の商品にしていたようです。
「多分、会社の在庫品とか社販で安く買える商品だよ!」や「この会社の人って超ケチじゃない!」
これは実際に私の友人が言っていたことです。
新郎さまからすると、自分が務める会社の商品に自信があり、ゲストの皆さんに食べてもらいたかったのかも知れませんが、実際にはマイナスのイメージを与えています。
自社商品=NGではありません。
ただ、選んだアイテムによっては、マイナスの印象を与えます。では、自社商品を引き出物にするには、どのようにすれば良いのでしょうか?
方法としては以下の3つの贈り方があります。
- あからさまに高い商品にする
定価で1万円の商品など相場よりも明らかに高い商品にしましょう。商品を見て値段の高さが分かるくらいの内容にすることが必要です。ただし、予算もあると思いますので、自社商品が安く購入できることが前提となります。
- なかなか手に入らない商品
生産数が少なく一般のお店では販売していないような商品であればゲストに好印象。限定品や一部の地域でのみ販売している商品ですね。逆にゲストが普段お店で目にするような商品はオススメしません。
- 商品のエピソードをゲストに伝える
開発エピソードや裏話を挙式中に司会者から説明。商品の魅力を伝え、誰もが欲しくなるように司会者と打ち合わせをしましょう。最終的に「引き出物として準備している」という形にすると効果的です。
謎の置物
海外で挙式を終えて、帰国後の1.5次会を開催されたカップルのお話です。
1.5次会ですが、着席式のしっかりとした披露宴を予定されていて引き出物も用意するとのことでした。
引き出物は挙式したハワイで人数分を購入。
その引き出物の中身は、アロハシャツを着たダンサーの謎の置物でした(笑)
これは説明不要ですね。
- なにこれ?
- 使い道がない
- 単純にいらない
- 捨てるに捨てられないけど、捨てるしかない
恐らくマイナスのコメントしかないでしょう。
引き出物はゲストがご自宅で使用するお品物です。
新郎新婦にとっては思い出の品でも、ゲストにとっては何の関係性もない商品は引き出物には適しません。置物のように使い道がなく実用性のない商品ならなおさらです。
全て女性もの
同僚がブライダルフェアで引き出物をご案内していた時のこと。
25歳くらいの新婦の方がお一人でフェアに参加していました。恐らく、新郎様はお仕事で参加できなかったんでしょう。
私は20代の新婦友人に、ジルシチュアートを紹介しました。
新婦さまが好きだったこともあり、気に入ってその場で引き出物が決定。しかし注文書をみると、ゲスト全員分の引き出物がジルスチュアート!!!
女性にはオススメですが、さすがに男性には・・・と思い「新郎様にも確認していただいた方が良いのではないでしょうか?」とやんわりNGと伝えたかったのですが、「引き出物は、全て任されているから決定して問題ありません。」といわれ、結局男性ゲストにもピンクのタオルを手配することになりました。
ジルスチュアートは女性に大人気のブランドです。
引き出物シリーズもジルスチュアートらしい可愛いデザインの食器やタオル、コスメなどから選べます。
きっと女性がもらったら嬉しいですよね!
しかし、この引き出物男性がもらったらどのように感じるでしょうか?
- 俺にピンクのタオルを使えってこと?
- 彼女への引き出物ってことかな?ってか彼女いませんが!
- 結婚式場がセッティングを間違えたんだろうな!逆に男性モノを女性ゲストが持って帰ってるかもしれない!
こういったことを考えるでしょう。
引き出物は年齢や性別を考慮して贈り分けをする必要があります。
引き出物は、新婦が全て決めるというのはよくあることです。
男性は面倒くさがったりしますからね。
しかし、新婦が決める場合でも、決定前に新郎も確認しましょう。
危険度Cの引き出物アイテム
最後は危険度Cの商品となります。
喜ぶゲストと喜ばないゲストの両極端に分かれる引き出物になります。
手作り(オリジナル)
引き出物をご案内していると、年間で数組くらいは、「引き出物は手作りにします」とおっしゃられます。
「陶芸にハマっているので、ゲスト全員分を自身で焼いた食器を贈りたい」
「アクセサリーデザイナーなので全員分のオリジナルアクセサリーを引き出物にしたい」
中には、新婦が演歌歌手をやっているので、自身のCDを引き出物に入れるという方もいました。
「引き出物の費用を安くしたいから手作りにしたんだ!」と思われがちです。
演出やドレスなど挙式中のアイテムは、新郎新婦のこだわりで選んで問題ありません。しかし、引き出物はゲストのご自宅で今後使用してもらう品物。ゲストが、どのようにその引き出物を使うか?まで考えて選ぶことが大切です。
引き出物の手作りが許されるのは、その商品を作ることでお金を貰っている人だけです。
後は売れっ子の芸能人ぐらい。
最近、ハマっているというようなレベルは完全にNGと言えます。
ディズニーの商品
関東の結婚式人気スポットの上位に、ディズニーランド周辺がランクインします。
ディズニーランド周辺の結婚式場では、ディズニー関連アイテムの引き出物も多数取り扱いがあります。
新郎も新婦もディズニーが大好き。
結婚式も夢にまでみたディズニー公式ホテルでの挙式。
- ウェルカムアイテムももちろんディズニー
- 披露宴中の演出もディズニー
- コース料理もちょっとしたディズニーの料理
こうなると引き出物もディズニーの商品にしたくなるはずです。
友人がディズニー公式ホテルでの結婚式に招待されたときのこと。
引き出物は、ディズニー関連商品だけを集めたディズニーカタログギフトでした。一冊丸々ディズニーです。
しかし友人はディズニーに関して全く興味がなく・・・もちろん交換したいと思える商品がありませんでした。正直、普通のカタログギフトをもらった方が良かったなと。結局交換しないまま終わったそうです。
先にもお伝えいたしましたが、引き出物はゲストがご自宅で使っていいただくためのお品物です。
新郎新婦の好きな商品という考え方は控えましょう。
ディズニーのようなキャラクターアイテムは、人によって好き嫌いが分かれます。
最低限、ゲストがディズニー好きであることを確認してからにしましょう。
好きではないなら仮にディズニー公式ホテルでの結婚式でも一般的な引き出物にする方が無難です。
書籍(本)
新郎新婦ともに大の読書好きというカップルの引き出物案内の時のことです。
読書にちなんだ引き出物が良いというご要望がありました。
引き出物としての取り扱いはありませんでしたが、書籍の定期購読ばかりを集めたカタログギフトがあることをお話しました。
そこから、話が盛り上がり結局ゲストごとに別々の書籍を引き出物にすることに。
ゲストの年齢、性別、趣味などに合わせて専門書から小説、子供用の図鑑など様々な書籍をラッピングして引き出物にしました。
ゲストそれぞれに別々の書籍は、かなり気が利いているようにみえます。
しかし、ゲストからすると印象は良いものではありません。
- この本読んだことある
- そもそも本読まない
- 本読んで勉強しろってことですか?
このようなマイナスイメージを与えかねません。
どうしても書籍を引き出物にしたい場合には、先に記載しました書籍定期購読のカタログギフトがお勧めです。
例えば、「ザプレ」という書籍の定期購読カタログギフトがあります。
http://www.zapre.net/about/ただし、本を読まない人もいますので、人を選ぶ引き出物といえます。
その他の気をつけたい引き出物
その他に「重い物」「かさばる物」「名前入り」は注意しておきたい引き出物です。
重い物
重い引き出物は、持ち帰りが大変なことから嫌がられる引き出物です。
女性はヒールを履いていますから、男性が思う以上に大変。
男性でも二次会に参加する方は、移動距離が長くなるため大変ですね。
かさばる物
重い物と同じく持ち帰りが大変という理由からNGギフトとされています。
かさばるものの大半が食器や陶器です。
使わないという声も多く、タンスの中で眠ることも少なくありません。
ただし、ブランド食器類は嬉しいと思う方もいます。
上手く贈り分けをするといい商品です。
新郎新婦さまの名前入り
現在は芸能人ぐらいですね。
昔は嫌われるアイテムとして定番でしたが、最近は贈る人がいません。
もし名前や写真入りを選んだら「ナルシスト!」や「自意識過剰」などボロクソにいわれる可能性が高いです。
1分で振り返り
この記事のまとめ
記事内でも触れたとおり昔のタブーは今は気にされなくなってきました。
その代わり新たにマナー違反とまではいかないものの、喜ばれない引き出物の特徴があります。
もしも重い物やかさばる物を送るなら『引き出物宅配』がおすすめです。
引き出物宅配ならゲストが持ち帰る必要がありません。
式場購入よりも安いため検討してみましょう。