結婚式でよく使われる讃美歌といえば『いつくしみ深き』ですが、428~430番までが結婚式で推奨される讃美歌として愛唱されています。
今回は、その中のひとつである『429番・あいのみかみよ』のご紹介と曲の背景をご紹介します。
429番・あいのみかみよの原曲
まずは『あいのみかみよ』の原曲である『O love divine and golden』をご紹介します。
<O love divine and golden 歌詞>
O Love divine and golden,
Mysterious depth and height,
To Thee the world beholden
Looks up for life and light;
O Love divine and gentle,
The Blesser and the Blest,
Beneath Thy care parental
The world lies down in rest.
O Love divine and tender,
That through our homes dost move,
Veiled in the softened splendor
Of holy household love,
A throne without Thy blessing
Were labor without rest,
And cottages possessing
Thy blessedness are blest.
God bless these hands united;
God bless these hearts made one!
Unsevered and unblighted
May they through life go on,
Here in earth's home preparing
For the bright home above,
And there forever sharing
Its joy where God is Love.
『O love divine and golden』は、偉大な2人によって作られています。
- 作詞者:ジョン・S・Bモンセル
- 作曲者:サミュエル・S・ウェスリ
ジョン・S・Bモンセル
作詞者のジョン・S・Bモンセルは、イギリス国教会副司教の子どもとして生まれ、1834年より聖職者となり、伝道牧会・著述・作詞とたくさんの神の歌をこの世におろしました。彼の作った賛美歌は300曲以上ありますが、そのうちの約70が曲実際に賛美歌として愛唱されています。「愛のみかみよ」は、宮殿でも小さな家でも変わらずに、結婚の儀を通して愛と祝福で包まれますように、無限の愛が湧き流れますように、という意味が込められています。
まさに結婚式のための愛の曲として、長く歌い継がれ慕われてきました。日本でも、結婚の儀で歌われる賛美歌のひとつとして愛され続けています。
サミュエル・S・ウェスリ
作曲者のサミュエル・S・ウェスリは、イギリスのモーツァルトと呼ばれるほど偉大な音楽家でした。サミュエルは6歳の時から各地でオルガニストとして演奏活動を行ない、最後はグロスタ大聖堂のオルガニストとして生涯の幕を閉じています。
彼のオルガン演奏、特にそのオルガンを使っての即興演奏はまさに神の音、神のアートをこの世に降ろすような美しさがあり、英国随一の腕前でした。サミュエルの父親は有名な教会音楽家、祖父も有名な説教家かつ讃美歌作者というとても恵まれた環境であり、ウェスリ一家は英国讃美歌史上重要な地位を占めています。
日本語の429番・あいのみかみよ
日本語の歌詞に込められた意味も、深い愛のメッセージが込められています。
結婚式で2人を祝福するのにもピッタリな賛美歌『429番・愛のみかみよ』には、新郎新婦だけでなく、結婚の儀に立ち会った人たちへも、愛と祝福のシャワーが流れていくようなイメージです。
<あいのみかみよ歌詞>
あいのみかみよ みまえにたつ
このいもとせを めぐみしゅくし
いとうるわしき あいのころも
よそわせたまえ とこしなえに
たましくにわも あいのつゆの
うるおいなくば などやすからん
ふせやのなかも あいのひかり
てりかがやかば たのしみみたん
あいのみかみよ よのたびじを
たすけあいつつ たどるまにも
あいにてみつる あまついえに
すまうそなえを なさせたまえ
意訳
愛の存在である神よ、今あなたの目の前にいる新郎・新婦に愛と祝福をお送りください。そして2人に永遠の愛を誓わせてください。
どんなにお金があって大豪邸に住んでいても、心からの愛と潤いがなければ、心は平和になりません。
たとえ貧しい住まいであっても、愛と光で満ち溢れていれば、心は豊かで平和、そして慈愛に満ちているのです。
愛の存在であるかみよ、この世の人生という旅路を 助け合いながらたどる間に、天国で住まうための備えをさせてください。
静かで深い愛のメッセージ
『天国』という漢字を分解すると「二人の国」となります。愛し合う二人が住まう国が天国だとしたら、お祝いにかけつけた参列者は天使たちに例えられます。
賛美歌の音色は、神の国の音楽のように聞こえますよね。愛と祝福とともに結婚式全体をサポートし、彩りを添えてくれる賛美歌429番は「愛のみかみよ」は、静かで深い愛のメッセージが込められている結婚式にぴったりの賛美歌です。