結納式では結納飾りと共に結納金を相手側に送ります。
一般的には男性から女性へ贈りますが、男性を養子として迎える場合は女性から男性へ贈ります。
この金銭や呼び方は古くからの流れや、様々な意味を内包(ないほう)していますので、非常に分かりづらいです。
今回は結納金を現代風の言葉にして分かりやすくご説明いたします。
結局、結納金はどれを渡せばいいの?
結納金は普段は聞き慣れない言葉ばかりのため、難しく感じますよね?
そのため、まずは分かりやすく説明をしていきます。
メインとなる結納金は御帯料(おんおびりょう)で、関西では小袖料(こそでりょう)になります。
御帯料は、結婚支度金として、新郎から新婦側へ贈ります。
また、結納式後の会食代金として酒肴料(しゅこうりょう)を結納飾りと合わせて持参することが基本となります。
基本の結納金
基本の結納金を現代風に分かりやすくすると以下の通りです。
結納金の名称 | 贈る理由 |
---|---|
御帯料または小袖料 | 新郎から新婦への”支度金”として贈る |
酒料(家内喜多留) | 新郎から新婦へ”会食代金”として贈る |
肴料(松魚料) | 新郎から新婦へ”会食代金”として贈る |
※酒料と肴料をあわせて酒肴料だけを贈るケースもあります
結婚支度金と会食代金が結納金と考えれば分かりやすいですね。
ちなみに、酒料と肴料は結納金の10%程度といわれています。
結納金が100万円なら酒肴料は10万円が目安ということになります。
現代の結納金は臨機応変な対応が必要
結納や結婚式の形態が多様化している現在では臨機応変な対応が必要です。
例えば、昔は結納といえば新婦の自宅でおこなっていました。
しかし、今ではホテルや結婚式場の施設で執り行われる場合が多くなっています。
この飲食代金は新婦側が支払うことが一般的です。
しかし、新郎と折半もしくは新郎側が支払うこともあります。
新郎側が会食を支払うので、酒料や肴料は無しという形で進めても良いのです。
古来のルールに縛られず新郎新婦とご両家で納得すれば厳密に従う必要は一切ないのです。
結納金の名称
男性側から女性側へ贈る結納金は、結納品の中に含まれる『小袖料(こそでりょう)』や『御帯料(おんおびりょう)』と表書きされた金封に現金を包みます。
その他にも『酒料(家内喜多留)』や『肴料(松魚料)』、この二つをまとめて『酒肴料』を贈ることもあります。
それぞれの結納金について贈る意味を説明していきます。
御帯料(おんおびりょう)とは?
結納品の中心として新郎側から新婦側へ贈られる金銭のことです。
関東では『御帯料(おんおびりょう)』、関西では『小袖料(こそでりょう)』と呼びます。
メインの結納金と考えればわかりやすいですね。
婿入の場合は、新婦側から新郎側へ『御袴料(おんはかまりょう)』を贈ります。
御帯料や小袖料…
衣装に関する名称になっていることに気付きませんか?
昔は嫁に来てもらうことへの感謝の気持ちとして新郎側から反物や帯の生地を贈っていました。新婦側は、頂いたそれらの布を使って結婚式の衣装などを仕立ていたのです。
このような名残から御帯料、小袖料、御袴料といった衣装に関する名称になったと言われています。
しかし、時代の変化と共に現物の布を贈ることはなくなり、金銭を贈るようになりました。
新婦側に「結婚の準備を整えてください」という支度金としての意味を持っています。
御帯料は松の結納飾りに乗せるのが一般的。
松の飾りには、冬でも枯れることの少ない松の木のように長く生きられるようにという繁栄の願いが込められています。
酒料(家内喜多留)とは?
祝酒の料金を包んだものが『酒料』です。
柳樽料(やなぎたるりょう)や家内喜多留料(やなぎだるりょう)ということもあります。
祝いの席のお酒やその肴です。
飲食代に対するお礼と考えると分かりやすいと思います。
新婦が新郎側へ嫁ぐ場合、結納式は新郎側が新婦側へ訪問して執り行われます。
結納後の宴で振舞われる酒や肴は新婦側が用意するのが一般的です。
その支度代金として新郎側は現金を贈るわけですね。
古くは朱塗りの酒樽(さかだる)、柳樽(やなぎだる)や一升瓶を新郎側が持参するものでした。
御帯料(おんおびりょう)や小袖料(こそでりょう)と同じく時代の変化と共に清酒料として現金を贈るようになっています。
地域によっては、太留料(たるりょう)と呼ばれることもあります。
関西では「家の内に喜びが多く留まるように」との願いから「家内喜多留(やなぎだる)」と呼ばれます。
竹の結納飾りとともに贈るのが一般的です。
竹の結納飾りには、真っ直ぐにたくましく伸びる竹のように清く正しく夫婦が成長するようにとの祈りが込められています。
肴料(松魚料)とは?
新婦側への感謝を込めて宴で振舞われる御馳走の準備金を包んだものです。
先程の「酒料」がお酒代なら、肴料は食べ物のお礼と考えると分かりやすいでしょう。
関東では鰹節とともに贈られることが多く、漢字の当て字は「勝男武士(かつおぶし)」です。結納飾りに組み込まれる際は、削る前の鰹節の背節と腹節を一組にして熨斗をかけます。
雄節(背節)と雌節(腹節)を一対にすると、組み合った形が亀の甲羅に見えるため慶事によく使われます。
また、「勝男武士」と字を当てることで、将来元気で丈夫な子供を産み、育てるようにとの希望が込められています。
「勝男節」「松魚節」「嘉津男婦志」と書く場合もあります。
その鰹節とともに意味を担う松魚とはまさにカツオのことで、もともとは鰹や鯛などの酒の肴を贈るものでした。
現在では食事代金として金銭を包むという形で残っています。
「松男節」「松魚料」と書く理由は、鰹節の切り口が松の木の幾重にも重なる年輪に見えることから由来しています。
一緒に贈られる梅の結納飾りには、寒い冬が終わる頃にいち早く開花する梅の木は力強く生きていく象徴としての意味があります。
以上が結納金の概要です。
ちょっととっつきにくいですが、それぞれに素晴らしい意味合いがあることがわかりますね。
結納金とは?のまとめ
- 基本の結納金は「御帯料」と「酒肴料」
- 関西では御帯料のことを小袖料と呼ぶ
- 御帯料は新郎から新婦へ結婚支度金として贈る
- 酒肴料はホテルなどの会食代金として新郎から新婦へ贈る
- 酒料と肴料は結納金の10%程度が目安になる
相手側へ直接「結納金はいくらご用意したらよろしいでしょうか?」と聞くのは絶対に避けるべきですが、新郎新婦を通して総合的な金銭の目安はつけておいたほうが良いかと思います。
両家の御両親の意向を聞き出して擦り合わせておくとスムーズにいくのではないでしょうか?
結婚とは新郎新婦はもちろん家と家との結びつきでもあります。
これから親戚となっていくわけですから、その正式な顔合わせとなる結納は円滑に無事済ませたいものです。
これらの結納に関わる金銭を理解した上で、お二人の結婚式スタイルに当てはめて柔軟な判断をしていただきたいと思います。